ちょっとした悲しみ(小さな嘆き)

ブルグミュラー「ちょっとした悲しみ」解説!解釈・弾き方のコツ・練習方法

ブルグミュラー「ちょっとした悲しみ」楽曲解説イメージ画像

このページでは、ブルグミュラー25の練習曲より「ちょっとした悲しみ」(小さな嘆き)について解説していきます。

タイトルの原題での意味などをふまえながら、弾き方のコツなどを学んでいきましょう!

ブルグミュラー「ちょっとした悲しみ」(小さな嘆き)の概要を解説

「ちょっとした悲しみ」は、ブルグミュラー25の練習曲の16番目に掲載されている曲です。

原題は「Douce plainte」です。

かつての全音版では「小さな嘆き」でした。他にも、「あまいなげき」と訳されている場合もあります。

拍子は4分の4拍子、調はト短調です。

テンポ表示は「Allegro moderato」です。「Allegro」と表記されていますが、その後に「moderato」が続いています宇。

「moderato」を日本語にすると、「節制のある」「適度な」といった意味です。

そのため、AllegroはAllegroでも、節度を保った抑えめなAllegroといったイメージです。

12曲目から見開き2ページの長めの曲が4曲続いていましたが、この曲ででちょっと小休止です。

「ちょっとした悲しみ」は1ページの小曲で、A-Bの二部形式になっています。

以下に参考動画を掲載しておきますので、イメージをつかむ際にご参照ください!

「ちょっとした悲しみ」を解釈するために

曲の概要解説の部分でも述べましたが、この曲の原題は「Douce plainte」です。

「ちょっとした悲しみ」「小さな嘆き」「あまいなげき」など、様々な訳があります。

曲の解釈を深めるために、現代のタイトルについて深堀りしておきましょう!

フランス語の辞書を引いてみると、「douce」は「doux」の女性形で、「柔らかい」「穏やかな」「心地良い」「甘い」「ゆるやかな」といった意味があります。

使い方によっては「こっそりと」といった意味もあり、「ひそかな嘆き」というタイトルもあるようです。

「plainte」は女性名詞で「嘆き」です。「不平」「苦情」という意味もあります。

「恋人になかなか会えないのがつらい」「私のことをどう思っているのかしら」という心境でしょうか。

ちょっぴり甘えてたり、拗ねたりする気持ちがあるかもしれません。

この曲のタイトルから連想されるのが、ジャン=フィリップ・ラモー(1683~1764)のクラヴサン(=チェンバロ)曲集の中にある「Les tendres plaintes」という作品です。

「恋の嘆き」「やさしい嘆き」「やさしい訴え」など訳されています(そういえば、ラモーの曲にインスパイアされて書かれた、小川洋子さんの小説「やさしい訴え」がありますね)。

「doux」にも「tendre」にも「柔らかい」という意味がありますが、「doux」は「撫でると気持ちが良い」、「tendre」には「弾力がある」「ふわふわしている」といったニュアンスの違いがあるようです。

「ちょっとした悲しみ」の弾き方のコツ・練習方法は?

楽曲の概要や解釈のヒントを探ったところで、続いては「ちょっとした悲しみ」の弾き方のコツと練習方法を見ていきましょう!

ロングトーンのニュアンスを出すには(A)

まずは、A-BのAの部分で始まります。

ここでは「dolente」の表示があります。意味は「悲しげに」です。

右手のメロディ、二分音符のロングトーン。ここは、ヴァイオリンのような旋律楽器だったら、音のふくらみをつけたいところです。

しかし、ピアノは楽器の構造上、いったん音を出したら減衰するのみ…ですから、そのニュアンスを出すのは左手の分散和音の動きです。

音の上下に従って、2拍目に向けてcresc.そして3拍目に向かってdim.という抑揚を付けましょう。

もちろん、右手の二分音符の延びている音が聴こえるように、音量のバランスには気を付けて。

それから、ロングトーンの後に続く、八分音符の表現が大事です。細かく松葉のcresc.やdim.の記号が付いていますから、汲み取ってくださいね。

5小節目のアウフタクトから、右手と左手の役割が交替します。

そして、6小節目の後半から7小節目にかけては左手から右手へ、1本のメロディとしてつながって聴こえるように。

7小節目2拍目のsfは一瞬の感情の高ぶりを示しているようです。しかし、すぐに静められていきます。

反復し、畳み掛けることで生じるざわざわとした緊迫感(B)

10~11小節目と12~13小節目がゼクエンツ(高さを変えて同じ音型が連続すること)になっています。

心騒ぐ様子を表すかのような、連続する和音のスタッカートとレガートのメロディの対比が印象的です。

連続する和音でのcresc.を効果的にするために、始まりの和音の音量はぐっと落としましょう。

14小節目からはfです。Aの部分で一瞬表れた感情の高ぶりが、ここではすぐに抑えられず、まるで悲痛な叫びのよう。16小節目の頭まで、fをキープしてくださいね。

また、ここは左手がA部分に現れた十六分音符のモチーフの前半部を繰り返していることでストレッタ(stretta)のような効果を生み、より緊迫感を出しているように思えますね。

14~16小節目にかけてのベースライン、ソ→ラ→♭シ→♮シ→ドの動きにも注目です。

16小節目の1拍目からは一気にdim.して、3拍目ではpに。

最後はすっと消えるように、あっけなく終わります。右手から左手への十六分音符の受け渡しをなめらかに。そして、最後の小節の四分休符を大切に、余韻を感じましょう。

※ストレッタ:フーガにおいて、主題が完結する前に他の声部が応答し、畳み込むように重なっていく手法

学習のポイントは?

最後に、「ちょっとした悲しみ」の学習のポイントを確認して締めくくりとします。

「ちょっとした悲しみ」は、タイトルの通り細やかなcresc.とdim.のニュアンスが求められる曲だと考えられます。

そして、盛り上がってから短いスパンで一気にpまでdim.するというのもこの曲の特徴です。

ところどころに出てくる、右手から左手へ、左手から右手へ、というメロディのスムーズな受け渡しもポイントでしょう。

淡々と弾くとつまらない曲になってしまうので、揺れ動く不安な気持ちを表現してくださいね。

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