分散和音・アルペジオ

分散和音とは?アルペジオとは?意味・違い・種類・効果をわかりやすく

分散和音とアルペジオの意味と違い

【 分散和音の意味 】
分散和音とは、和音を同時に演奏したもの(=同時和音)と対を成す言葉で、和音をいくつかに分けて演奏したものこと

分散和音には、アルペジオやアルベルティ・バスなど、いくつかの形がある。

【アルペジオの意味】
アルペジオ(またはアルペッジョ)とは、分散和音の一種であり、和音を分散して下から上へ(時には上から下へ)順番に演奏すること

アルペジオは、「ハープを演奏する」という意味のイタリア語"arpegiare"を語源とする。ハープのような流れるような響きが特徴である。

このページでは、分散和音の意味や種類、アルペジオとの違いなどを、画像や動画の具体例を交えながら確認していきます。

分散和音とは?意味をわかりやすく

分散和音とは、和音を同時に鳴らすのではなく、和音をいくつかに分けて演奏することを指します。

分散和音を理解するために、まずは和音(=同時和音)について簡単に見ていきましょう。

まずは同時和音を理解しよう

和音とは、2つ以上の高さの異なる音を同時に演奏して合わせた音のことをいいます。同時和音とも呼びます。

和音は通常、以下のよう形で描かれ、同時に演奏されます。

同時和音の例

和音は、2つ以上の音を何でも合わせればいいというわけではなく、基本的には、同時に鳴らして調和する音同士を組み合わせます。

例としては、ドミソ、ドファラ、シレソなどの組み合わせがあります。

以下に和音の動画を貼っておきますので、同時和音の響きを確認してみてください。

同時和音を分けて演奏するのが分散和音

分散和音とは、和音を構成する複数の音を、同時にではなくいくつかに分けて演奏することです。

以下は、和音を一音ずつ分散和音として演奏する例です。

分散和音の例

上の和音と同じドミソですが、同時にではなく一音ずつ分けて演奏していることがわかります。

アルペジオとは?意味は?分散和音との違いは?

「分散和音」に続いて、「アルペジオ」の意味を確認していきましょう。

というのも、この2つの言葉は元々は違った意味を持っていますが、現在では同じ意味で使われることが多いからです。

アルペジオは元々「ハープのような演奏」という意味

アルペジオのもともとの語源は、「ハープを演奏する」というイタリア語にあります。

英語圏で広く読まれているギター専門サイト"GUITER WORLD"では、以下のように説明されています。

【 日本語訳 】
アルペジオという言葉は、イタリア語の"arpeggiare"という言葉を起源とし、「ハープを演奏すること」を意味する。(ハープ奏者を目で追うと、奏者は多くの場合、弦を一つひとつ つま弾くことで音を強調していることがわかる)
――GUITER WORLD "Eight Things You Need to Know About Arpeggios"より翻訳・引用

アルペジオは元々はイタリア語で、"arpeggio"です。

"arpeggio"は、「ハープを演奏する」という意味のイタリア語"arpeggiare"の派生した形です。

つまり、語源から考えると、アルペジオは「ハープのような演奏」といった意味を持つ言葉なのです。

アルペジオは、上から下へ、または下から上へとハープのように演奏するため、流れるような響きを生み出します。

以下に参考動画を貼り付けていますので、アルペジオの響きをぜひ確認してみてください。

https://www.youtube.com/watch?v=otMERTnTMS4

アルペジオは分散和音とどう違うのか?

「アルペジオ」は、分散和音の一種です。

分散和音なので、同時和音と異なり、和音をいくつかに分け演奏します。

アルペジオは、分散和音の中でも特に、和音を同時に演奏するのではなく、和音を下から上に、もしくは上から下に、一音ずつ演奏する表現方法のことを指します。

この点については、英語圏で広く利用されているオンライン学習サイト"Study.com"で分かりやすく説明されているので引用する。

【 日本語訳 】
アルペジオとは、和音の構成音が、同時にではなくひとつずつ演奏された場合を指す。より正確には、和音は3つ以上の音が同時に演奏されたものである。和音の構成音が分解され、低い音から高い音へ、もしくは、低い音から高い音へと演奏された場合に、その和音はアルペジオとなるのである。
――Study.com "Arpeggio in Music: Definition & Patterns"より翻訳・引用

つまり、アルペジオは分散和音の一種であり、「ド→ミ→ソ」のように和音の下から上へと進行するパターンと、「ソ→ミ→ド」のように和音の上から下へと進行するパターンとがあるのです。

このように、アルペジオは本来は分散和音の中でも特に上から下へ、または下から上へ順次進行するものを指す言葉でした。

しかしながら、今日では分散和音のことをアルペジオと表現する人も少なくありません。

したがって、「アルペジオ」という言葉が使われている場合には、分散和音全般を指しているのか、和音の上行形もしくは下行形を指しているのか、文脈から判断する必要があることは覚えておきましょう。

楽譜上のアルペジオ|アルペジオを表す記号

アルペジオは、楽譜上ではどのように表記されるのでしょうか。画像を見ながら確認していきましょう。

次の画像は、標準的なアルペジオの表記方法です。アルペジオの一つひとつの音符を順に表記しています。
楽譜上のアルペジオ

続いては、アルペジオの略記方法です。和音の左側に波線を書き込むことでアルペジオであることを表現できます。

アルペジオの略記①

①は標準的な波線でのアルペジオ表記方法で、基本的には下から上へと演奏します。

また、②のように波線を矢印のようにすることで、演奏する方向を明記することもあります。②は上から下へ演奏するという意味です。

最後に、アルペジオを文字で表記することもあります。その場合は、アルペジオの箇所にarp. または arpeggio と表記します。(画像参照)

アルペジオの略記②

分散和音の種類は?画像と動画で確認

分散和音には、いくつかの種類があります。その代表的なものをそれぞれ確認していきましょう。

アルペジオ

アルペジオ(またはアルペッジョ)とは、和音を分散して下から(時には上から)順番に演奏することです。次の画像のような音の配置になります。

アルペジオの画像

この画像の例では、ドミソドミソドソミドソミドと、ドとミとソの3つの和音を順番に上がった後に下がっています。

楽譜上の表記を確認したところで、続いては動画でアルペジオの響きを確認してみましょう。

先にも触れましたが、、アルペジオは、元々は下から上へ、もしくは上から下へ順次演奏していくことを表す言葉ですが、しばしば分散和音と同義で使われます。

したがって、「アルペジオ」という言葉が使われているときには、分散和音の意味で使われているのか、順に上行する(または下行する)音型を表しているのかを、文脈から見極める必要があります。

アルベルティ・バス

アルベルティ・バスとは、和音を構成する3つの音を、低音→高音→中音→高音の順番で分けて演奏する奏法です。次の画像のような音の配置になります。

アルベルティ・バスの画像

アルベルティ・バスの響きも動画で確認してみましょう。

このアルベルティ・バスという名前は、前古典派の作曲家であるドメニコ・アルベルティが楽曲の低音部(=バス)にこの形を多用していたことに由来します。

アルペジオと名前がなんとなく似ているますが、アルペジオの派生形を意味する名前ではありません。

根音と第3音・第5音を分けたもの

また、和音の根音(こんおん・和音の一番根底にある支えとなる音のこと)と、それ以外の音を分けて弾く形もあります。次の画像のような形になります。

ズンチャッチャの画像

この種の分散和音は、俗に「ズンチャッチャ」などと言ったりします。

その理由は、基本的には先に弾く根音に強勢がおかれ、後の音は軽く短めに弾くことが多いからです。

以下の動画で響きを確認してみてください。

分散和音の効果|分散和音が使われる理由は?

続いて、分散和音がなぜ用いられるのか、その理由について見ていきましょう。分散和音の効果と言い換えることができます。

以下は、海外で良く読まれている音楽理論のサイト"MUSIC THEORY ACADEMY"の説明を引用したものです。

【 日本語訳 】
アルペジオは、素晴らしい音楽的技法であるが、その理由は、
1. 響きが豊かである(下のバッハやColdplayの例を見てほしい)
2. 伴奏にリズムを付加する
3. 一度にひとつの音しか出せない楽器(=単音楽器。たとえばトロンボーンなど)でも和音の演奏を可能にする
4. 演奏者の技術を向上させる―指導者は生徒に「スケールとアルペジオを練習しなさいというのが常である」
――MUSIC THEORY ACADEMY "Arpeggios"より引用
※引用元のサイトでは「分散和音」と「アルペジオ」が同じ意味で使われています。

以上が一般的な分散和音の効果です。

①については、分散和音は同時和音と比べて響きが全然違います。

同時和音は複数の夫を一緒に鳴らすので、少し重たい印象ですが、分散和音は軽やかでリズミカルな印象です。

②については、複数の音を同時にジャーンと鳴らす同時和音はリズムに合わせて何度も鳴らすものではありませんが、分散和音は複数の音をリズムに合わせて分けて演奏します。

そのため、伴奏に一定のリズムを与えるのです。

また、複数の音を同時に出せるピアノなどの楽器であれば、和音を簡単に表現できますが、トロンボーンなどの一度にひとつの音しか出せない楽器は、同時和音を鳴らすことができません。

そこで、トロンボーンのような単音楽器は、和音を分散させることによって和音を表現することが行われるのです。

さらに、分散和音には、表現上の理由だけでなく、学習上の効果もあります。

音楽を真剣にやるならスケール(=音階)や分散和音の練習が不可欠ですが、これらの練習は演奏者の表現力を大きく向上させてくれます。

分散和音を英語で言うと?

では、分散和音は英語ではどのように表現されるのでしょうか?

分散和音は、英語で"broken chord"と表現されます。

「アルペジオ」の箇所でも触れたとおり、"arpeggio"と呼ばれることもあるのは、日本でも海外でも一緒です。

また、英語では分散和音は以下のように説明されています。

Like intervals, all chords can be performed harmonically, (when all their notes sound together), or melodically, (when all their notes sound consecutively). In such cases, the chord is called a broken chord, or sometimes, arpeggio.
――OnMusicDICTIONARY "Broken Chords"より引用。

【 日本語訳 】
まるでインターバルのように、複数の和音は同時に演奏されることもあれば(この時すべての音は一緒に鳴っている)旋律的に演奏されることもある(この時すべての音は順次演奏される)。このような場合の和音を特に分散和音と呼び、時には、アルペジオと呼ばれることもある。

英語でも、分散和音の説明は同じで、和音を同時に鳴らすのではなく別々に順次演奏するということがわかります。

分散和音はアルペジオと同義で使われることがあるのは、日本だけでなく海外でも一緒であることも読み取れますね。

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