すなおな心

ブルグミュラー「すなおな心」の楽曲解説!弾き方のコツ・練習方法

ブルグミュラー「すなおな心」楽曲解説のイメージ画像

このページは、ブルグミュラー25の練習曲より、「すなおな心」の楽曲解説です。

楽曲の概要を確認した後に、弾き方のコツや練習方法などについて考察していきます。

ブルグミュラー「すなおな心」の概要を解説

「すなおな心」は、ブルグミュラー25の練習曲のいちばん最初に掲載されている楽曲です。

原題は"La Candeur"で、それが日本語に訳されて「すなおな心」になりました。英語では"Frankness"と言います。

拍子は4分の4拍子で、調はハ長調です。

そして、楽曲形式は前半のAと後半のBの部分にコーダ(Coda)を加えた、A-Bの二部形式です。

「すなおな心」には、たくさんの楽語が登場します。楽語とは、曲の速さや強弱などを指定するものです。

以下に一覧で示しているので、弾く前に意味を確認しておきましょう!

Allegro[アレグロ]:速く(快活な、陽気な)
moderato[モデラート]:中くらいの速さで
dolce[ドルチェ]:やわらかく、甘く
cresc.[クレッシェンド]:だんだん強く
poco riten.[ポコ・リテヌート]:少し、それまでよりも遅く
a tempo[ア・テンポ]:もとの速さで
dim.[ディミヌエンド]:だんだん弱く

以上を踏まえて、参考動画も掲載しておきますので、音でイメージをつかんでおきましょう!


YouTubeですなおな心を聴く

「すなおな心」の弾き方のコツ・練習方法は?

ブルグミュラー「すなおな心」の概要を確認したところで、続いては弾き方のコツを・練習方法を交えて確認していきましょう。

スラーの終わりまで音をつなげて(A:1~8小節目)

この曲は、1~8小節までが前半部分(A)です。

曲の右手の最初に出てくる「ソミレド」という4音。この音型の展開により、この曲は構成されています。

曲を通してモチーフを2回ずつ反復。そうやって何度も繰り返すのが「素直」ってこと、とも考えられます。

1小節目の「ソミレド」が2小節目では「ドラソファ」になりますが、2小節目に行くとき、1小節目の終わりのドから1オクターヴ上のドに飛びます。

ここで、たいてい音を切ってしまいがちです。

しかし、楽譜をよく見てください。スラーが8小節目までかかっています。つまり、切れないようにつなげないといけないのです。

「手が小さくて指が届かないよ~」という声が聞こえてきそうです。

この練習曲の正式名称の中に、「小さな手を広げるための明解な構成と運指」とありましたよね。

ぎりぎりまで指を広げ、そのまま指を伸ばすように、横に移動して弾いてみてください。

つなげようという意思を持って弾くと、つながっているように聴かせることができます。

イメージを持つことが大切です。そうでないと、指が届くくらい成長しても、音を切って弾く癖が付いてしまいますよ。

2小節目から3小節目に行くときも音が切れてしまいがち。それは、2小節目の最後のファの音は1の指で、3小節目の最初のソの音は5の指で弾かないといけないからです。

離れた指で隣りの音を弾かないといけないので切れやすいのですけど、ここでは手が小さいからという言い訳は通用しません(笑)。

1の指を曲げて5の指をそばに引きつければ、つなげて弾けますよね。

4小節目は3小節目の反復に見えて、実は終わりが微妙に異なります。

3小節目は「シドミファ」、4小節目は「シドレミ」です。間違えやすいので、注意しましょう。

左手の三和音は、7小節目に出てくる借用和音(レ♯ファド)でつまづく場合が多いようです。

それまでに出てきた和音よりも音域が広いので、しっかり手を広げてくださいね。

※借用和音とは?
現在の調と違う調の和音を使用すること。この場合、次にあるソシレの和音が、ハ長調の属和音(音階の5番目の音の上にできる和音)であると同時に、ト長調の主和音でもあるため、ト長調の属七の和音を借用して使用している。

左手の動きと2声部になる右手(後半:9~16小節目)

9小節目から16小節目は、後半部分(B)です。

9小節目及び11小節目は、右手のモチーフに対し、左手が反進行(ソシドレ)となっていることに注目。まるで合わせ鏡のようです。

10小節目と12小節目は右手が止まり、左手のみ八分音符で動きます。ここは左手にスポットを当てて、抑揚をつけたいところ。

13小節目から14小節目にかけては、この曲のいちばんの盛り上がりであるとともに、難しい箇所です。

右手のモチーフが2声部に分かれて、最初の音を二分音符で延ばしたまま、後の3音を弾くという形になります。

まず、13小節目から14小節目にかけて、最も出したい音、ソ→♯ファ→ラをはっきり出しましょう。

sf(スフォルツァンド:その音を特に強く)の付いているラに向かっていくように。

5の指や4の指など弱いとされる指を使うので、しっかり支えてくださいね。

そして、二分音符をキープしつつ、後の3音「♭ミレド」をごく弱く、指を鍵盤に落とすだけという感じで付けます。ただし、音が重なって残ってしまわないように。

14小節目sfの次のソの音ではすぐに音量を落として、落差をつけること。

ここから15小節目にかけてジグザグの動きになりますが、指を尺取虫のように伸ばしたり縮めたりして、バタバタしないように鍵盤に指を吸い付けて弾きましょう。

左手は15小節目になるとそれまでのバス譜表から高音部譜表に変わりますが、鍵盤上ではほとんど移動はありません。楽譜上の見かけに惑わされないでくださいね。

印象的なマイナーコード(Coda:17~22小節目)

17小節目からは、Codaに入ります。

Codaでは、左手に現れる「ドファ♭ラ」というマイナーコードが印象的です。

これは「molldur(モルドゥア)の和音」で、長調の第6音を半音下げたものを指します。

ただ、黒鍵の位置を間違えて、ファを♯にして弾いてしまう人が多いので注意が必要です。

きちんとファ♭を弾くために、左手の1の指を黒鍵に置くことを強く意識しましょう。

黒鍵を弾く1の指は黒鍵のなるべく下に(鍵盤全体で見ると中央の位置)、ドを弾く5の指はそれよりも手前にくるよう手を斜めに置くと、音の鳴りやすいポジションで弾けます。

ちなみに、ドファラ→ドミソという終止形は「アーメン終止」と呼ばれています。キリスト教の讃美歌で、最後に「アーメン」と歌うとき、このようなコード進行をするからです。

この場合、molldurの和音を使っているのがちょっとオシャレですね。

左手は20小節目の3拍目から再びバス譜表に戻りますので、鍵盤の位置を見失わないように。

同時に、右手の和音の準備もしてから、左手の「ドミファソ」を弾き始めてくださいね。そのほうが余裕を持って弾けます。

2回目の「ドミファソ」の最後のソの音はタイになっています。鍵盤から1の指が離れないように押さえたまま、最後のドの音を弾きましょう。

最後はpp(ピアニッシモ:ごく弱く)ですから、最も小さな音で終わらなければなりません。その前の「ドミファソ」よりも絶対に大きくならないように、時間をかけて、ゆっくりと鍵盤を押すことを心がけましょう。

学習のポイント~レガート奏法の習得~

ブルグミュラー25の練習曲には、それぞれ身につけるべきと考えられている奏法があります。

「すなおな心」の場合は、八分音符の粒をそろえ、なめらかにつなげて一定のテンポで演奏するというのが目標でしょう。

テンポ表示は「Allegro moderato」となっていますが、中くらいの速さよりは速めに、という意図が感じられます。

しかし、楽譜に書かれているメトロノームの数字は速すぎる気がします。

この曲の場合、1拍120くらいで充分だと思います。もっと遅くてもいいかもしれません。

ペダル記号が書かれている楽譜もありますが、この曲ではまだ不要です。

それよりも、指だけでいかになめらかにつなげるか(レガート奏法)を身につけるに重きを置くべきでしょう。ペダルをつけるのは、レガートで演奏になった後にしましょう!


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