今回は、ブルグミュラー25の練習曲の5曲目、「無邪気」に関する楽曲解説です。
「無邪気」はどのようなイメージを持って、何に気をつけて練習すればいいのでしょうか?
「無邪気」の解釈の仕方と弾き方のコツや練習方法をまとめました!
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ブルグミュラー「無邪気」の楽曲解説
「無邪気」は、ブルグミュラー25の練習曲の5番目に掲載されている曲です。
「無邪気」の特徴的な点としてまず挙げられるのは、4分の3拍子であることです。
「ブルグミュラー25の練習曲」で初めて出てくる3拍子の曲です。曲全体を通して3拍子を感じながら弾きたいですね。
テンポ表示は「Moderato」(中ぐらいの速さ)、調は「ヘ長調」(=ファを主音とする長音階)です。
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「無邪気」の解釈について
続いては、ブルグミュラー「無邪気」の解釈の仕方についてです。
この曲は、原題のフランス語では「Innocence」となっています。
Innocenceには、「無邪気」以外にも、「無罪」「無実」「潔白」とった意味もあります。辞書的にはそちらの意味のほうが先に出ているんですよ。
この曲は雰囲気からしてもちろん「無邪気」の意味になると思いますが、そのような意味もあるということを知っておいて損はないでしょう。
たとえば、大人に何かをとがめられた子どもが「やってないもん!」「悪くないもん!」と言っているようなイメージなのかもしれません。
「無邪気」の解釈については、PTNAのページが対話形式でおもしろおかしく解説しているので、引用してご紹介します。ご興味がある方はリンクをたどってみてください。
前半と後半の対比は、楽譜を眺めれば眺めるほど歴然としてくる。左手の和音の薄さだけでもなんと明白なことか。でも、そんなことがあってもいい。時には投げやりになる日があってもいい。大人になりきれなくたって、時には「無邪気」に振る舞うことも人生には大切なんである。これは、そんなことを教えてくれる一曲なのかも知れない。最後の「もう、知らない」の和音ですが、演奏上は投げやりにならず、丁寧に弾きましょう。それが大人ってものです。
――PTNA「みんなのブルグミュラー 25曲を斬る!第05回 Innocence 無邪気 ~ 対比からちらつく"Innocence"とは」より引用。
ブルグミュラー「無邪気」の弾き方のコツと練習方法
ここまででブルグミュラー「無邪気」の概要と解釈のポイントについて見てきました。
以上を踏まえて、「無邪気」の弾き方のコツを、練習方法を交えて学んでいきましょう!
前半はエレガントに
まず、1小節目に「grazioso」(優美に)と書いてあります。
右手が「ラソファミ・ファミレソ・レド♭シラ」と、4つの十六分音符の下行する音型(モチーフ)が高さを変えて、3つ連続する形で始まります。
このように高さを変えて同じ音型が連続することを「ゼクエンツ」と言います。よく出てくる手法ですから覚えておいてください。
指使いも「4321」を繰り返して弾くのが基本です。
そして、2小節目では「ド♭シ・♭シ・(四分休符)」という、八分音符の2度の下行音型と四分音符というモチーフがあらわれます。
前半部分に関しては、この十六分音符と八分音符のモチーフでほぼ成り立っています。
この1~2小節は1つのフレーズ(まとまり)として途切れないように演奏することがポイントです。
この曲を練習している生徒さんによくありがちなのが、2小節目でテンポが速くなってしまうこと。
1小節目の左手は付点二分音符で延ばしているのですが、2小節目で四分音符で刻むときに速くなってしまうのです。
速くなりやすいのをきちんと抑えながら常に同じテンポで弾くようにし、3拍子を感じて弾くことが重要です。
右手の十六分音符が連続する部分でもただ音を並べるのではなく、3拍子を感じて弾きたいですね。
2小節目の「ド♭シ・♭シ・(四分休符)」では最後の「♭シ」が大きい音になりがちなので注意。やさしく丁寧に指を置きましょう。
3~4小節も同じようなフレーズです。ただし、十六分音符はゼクエンツではなく、下行から上行へ向かう音階となっています。
5小節目、再びゼクエンツが出てくるのですが、ここでは「ラソファミ・ファミレ♯ド・レ」となっているので、「4321・4321」の指使いができません(黒鍵に1の指を使用するのは避けたいため)。ですから、ここでは指使いが他の部分と異なります。注意しましょう。
7~8小節目では、アーティキュレーション(音のつなぎ方や切り方で表情をつけること)を大切にしてほしいですね。
書かれているスラーのとおりに、スラーの切れ目では音を切りましょう。そのとき、音が強くなってしまわないように、すっと抜くように。
前半部分は左手の和音が1小節ごとに変化します。
この変化する和音は楽譜上は単純に見えますが、右手と合わせてみると意外に対応できないことが多いものです。
そのため、まずは左手のみで、リズムをつけずに、変化する和音だけ拾って弾いてみましょう。
動きに迷わずスムーズに和音をつなげることができたら楽譜どおりに弾いてみる、といった練習をおすすめします。
後半は活発に
前半は「grazioso」(優美に)と書かれていましたが、後半には「leggiero」(軽く)と書いてあります。
10小節目から、新たに八分音符と十六分音符の特徴的なリズムが右手に表れます。
これもアーティキュレーションを生かして弾くようにしましょう。この場合はスラーの終わりが拍の頭なので、抜かずに、はずむ感じです。
前半は付点二分音符と四分音符がメインだった左手も、ここから八分音符となり、動きが出てきます。
そうして右手はどんどん上行していき、14小節目で一気に音階で下行…と見せかけて、15小節目の頭でいきなり6度上の音に!
この部分、ちょうど楽譜上では段が変わる場所ということもあって(全音版の場合)見失いやすいので、停滞しないように、この動きを意識しておきましょう。
再び下行してから、16小節目から17小節目にかけて音階で上りつめたところで、一気に低音域に移動して両手の和音で終わります。
後半は上ったり下りたり、まるでジェットコースターのようです(笑)
最後の和音は楽曲の締めくくりなのできっちりと決めたいところですが、音が飛ぶので外しやすい箇所でもあります。
決め方のポイントは、「アラベスク」の楽曲解説 にも記載しましたが、移動先の鍵盤を先にしっかりと目で確認しておくことです。
今弾いているところに視線をやっていたのでは間に合わず、音を外してしまう確率が上がってしまいます。
したがって、行き先を先に目で確認する→行き先にサッと手を移動する→すぐに鍵盤を押すのではなく一瞬鍵盤の上に手を置いて待つ、というイメージで弾くと、うまくいきやすいですよ♪
「無邪気」を学習する際のポイントは?
曲の印象としては後半に動きがあって盛り上がりがあるのですが、前半のほうが細やかなニュアンスが求められるように思います。
ゼクエンツの行きつ戻りつする感じ、4~5小節目の左手のド→♯ド→レの動き、1小節目と5小節目に現れるメロディの半音の相違、7小節目の右手♭ラ→♮ラといった半音の変化を感じて弾けるようにしたいところです。
それにくらべると、後半は単純といいますか、あっさりしているという印象です。
全体を通しての「無邪気」の学習のポイントは、以下のような点であると考えられます。
・十六分音符のなめらかな動き
・アーティキュレーションの細やかな弾き分け
十六分音符の動きの中にはヘ長調の音階が織り込まれていますが、特にヘ長調下行形でのド→♭シは鍵盤が離れています。
だからと言って、1→4と指のクロスをする際にひじを外側に張り出したり、手首をひねったりしないように気をつけましょう。
一つ前の曲、「小さな集会」の解説でも述べましたが、1の指の付け根の動きを柔軟に、左右への可動域を広くして、手の位置をなるべく一定に保って弾きましょう。
この曲のイメージは…
前半はちょっとおすまししていた女の子。
でも、後半ではだんだん緊張が解けてきたのか、動き回ったり、飛び跳ねたり。そして、そのまま向こうに走り去ってしまいましたとさ…幕(ジャーンと和音)。
そんな一場面が浮かんできます。
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