優美

ブルグミュラー「優美」の楽曲解説!解釈・弾き方のコツ・練習方法は?

ブルグミュラー「優美」楽曲解説イメージ画像

今回は、ブルグミュラー「優美」についてです。

「優美」の弾き方のコツや練習方法を確認しながら、楽曲をどのように解釈したらいいか、イメージを膨らませていきましょう!

 

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ブルグミュラー「優美」の概要を解説

まずは、ブルグミュラー「優美」の概要を解説しておきましょう。

「優美」は、ブルグミュラー25の練習曲の8曲目に掲載されている作品です。

原題は「La gracieuse」。現在の全音版では「優しく美しく」となっています。

こう書かれると、宝塚歌劇団の「清く正しく美しく」を連想してしまうのは私だけでしょうか?

拍子は4分の3拍子、調はヘ長調です。テンポ表示は「Moderato」。

そういえば、5曲目の「無邪気」も4分の3拍子、ヘ長調で、Moderatoでしたね。

「無邪気」で小さかった女の子が、成長して淑女となった姿でしょうか。

楽曲の形式は、ダ・カーポ(D.C. al Fine)による三部形式(A-B-A)です。

この曲のポイントは、装飾音(ターン)をいかに「優美」に聴かせるかにあります。

メインの音(ダウンビート)と装飾音(アップビート)を弾き分けるようにしましょう。

以下は「優美」の演奏動画です。実際に音を聴いてイメージをつかみたい方はぜひご参照ください。

 

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「優美」の弾き方のコツ・練習方法は?

ブルグミュラー「優美」は、装飾音の演奏方法を習得するのが一番のポイントです。弾き方のコツや練習方法について詳しく見ていきましょう!

右手のターンは軽やかに(A:1~8小節目)

「優美」の楽譜を見ると、最初に目につくのは1拍目と2拍目の上拍に置かれた三十二分音符でしょう。

黒々とした音符にギョッとするかもしれません。

実はこれ、装飾音です。装飾記号で書くとターン記号になります。

書かれた音符の2度上の音と下の音をぐるりと回るから「ターン」なんですね。

1小節目の1拍目を見ると、ドの音を弾いてからレドシド。

ドの音を中心に、上の音(レ)→メインの音(ド)→下の音(シ)→メインの音(ド)という動きをしています。

2拍目もファの音を中心に、上の音(ソ)→メインの音(ファ)→下の音(ミ)→メインの音(ファ)という動き。以下、同様です。

ただし、4小節目だけは例外で、その音から次の音へと滑らせるようにつなぐ、glissando(グリッサンド)になっています。

この法則がわかってしまえば、三十二分音符に気おくれすることはありませんよ♪

それよりも、三十二分音符の後、どの音に行くのかを迷ってしまい、止まってしまう…ということがありがちです。

三十二分音符のターンの後はスマートに次の音に着地したいもの。

ですから、まずは右手の拍の頭の音だけなぞり、メロディーの骨格を把握しましょう。ド・ファ・ラ/ド・ソ・♭シ…というふうに。

そして、その間をつなぐように、三十二分音符の装飾を入れていきましょう。

曲の冒頭には、「p(弱く)」という強弱記号に続いて、「molto legato e leggiero(モルト・レガート エ レッジェーロ」と書かれています。

「とてもなめらかに、そして軽く」ですよ。

左手の和音は、二分音符に続く八分音符、というリズムが特徴的です。

5曲目「無邪気」の左手と同様、1小節ごとに和音が変化しますので、その時に行った練習方法をここでも取り入れてみてください。

左手の八分音符にはスラーとスカッタートの記号が記されています。これは「メゾスタッカート」と言い、スタッカートよりも長めに、柔らかく切ります。

擦弦楽器(ヴァイオリンなど)では弓を返さずに演奏することを示しますので、イメージとして持っておくとよいでしょう。手首を柔らかく使いましょう。

7~8小節目にかけて、右手は上昇します。通常ですとこのようなパターンはcresc.(だんだん強く)することが多いのですが、ここは「dimin.(だんだん弱く)」。

8小節目最後の音は左手も1オクターブ下がり、音域も最大限に広がるのですが、「pp(とても弱く)」の指示です。ドスンと大きな音が出てしまわないように、鍵盤に指を乗せた状態でそっと押しましょう。

右手と左手の役割が入れ替わる中間部(B:9~16小節目)

中間部はハ長調に転調。「mf(やや強く)」で始まります。左手に三十二分音符で書かれたターンの装飾、右手に和音、と役割が入れ替わっています。

そして、11小節目は両手とも和音になります。「cresc.(だんだん強く)」と書かれていますが、ソシミ・ソシレの和音を3回繰り返す際に、1回目、2回目、3回目と段階的に大きくしていくと効果的。

その時、1回目はぐっとpまで音量を落として始めると、さらに効果的です。

このような、かたまりごとに階段のように音を大きくしていくcresc.のしかたを「テラス式クレッシェンド」と言います。バロック時代によく使われた表現です。

12小節目最後の左手の「ソ」。これを付け足しみたいに適当に弾いていませんか?

この音は次の13小節目1拍目「ド」に先行する、アウフタクトの「ソ」です。1拍目の「ド」を誘導するように弾いてくださいね。

「優美」「優しく美しく」の解釈について

J.S.バッハも装飾音を記号でなく実音符で書くということをしていますけれども、書かれた音符がどのような役割を果たしているのかを看破できると、表現や弾きやすさにつながりますよ。

この曲の目的は、装飾音(ターン)をいかに「優美」に聴かせるか、でしょう。

メインの音(ダウンビート)と装飾音(アップビート)の弾き分けがポイントです。

メインの音と装飾音を同じように弾いてしまうと、ドタドタ…と聞こえてしまいます。

装飾音は「飾り」ですから、レースやリボンといった飾りがそれを付けている本人を隠してしまったら台無し。

装飾音はメインの音に対し、かなり軽く弾きましょう。トゥシューズを履いて爪先立ちで、まさしくくるっとターンをするイメージ。

ここで回るときに一つ一つステップ踏んでいたら、違和感がありますよね?

注意点としては、装飾音を軽く弾くことに気を取られるあまり、音価(音符の長さ)が崩れてしまわないように。

また、この曲では右手と左手がやりとりをしている感を出したいですね。

ここからは、この曲に対しての私的なイメージです!

ブルグミュラー「無邪気」から「優美」へ。成長した少女は、淑女としての教育を受けることになります。

ここで習うのはダンスで?はたまたピアノでしょうか?

ターンが出てくるので、ここはダンスのレッスンということにしましょう。

まず、少女が踊ります。それを見つつ、うなづく男性教師(3拍目で八分音符の和音が2つ続くのが「うんうん」って感じ)。

一通り少女が踊り終えたところで、今度は男性教師が手本を示すべく踊ってみせます(ここから中間部)。

それを見て、少女があいづちを打ちます(ここは八分音符の和音が3つ。男性教師より1つ多い!より丁寧に、「本当に、そうですね」と言っている感じがします)。

両手ともに和音になるところでは教師と一緒に少女も踊り、それを踏まえて、次は少女一人で踊ってみます。

「いや、そうじゃなくて(これがアウフタクトの「ソ」)」と、再度教師が踊ってみせ、二人で一緒に踊った後、「じゃ、一人で踊ってみてごらん」と教師は後ろに下がり、もう一度少女は踊ります…。

ブルグミュラーさんがピアノを教えた生徒の中にも、このような少女がいたかもしれません♪

 

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