清らかな小川

ブルグミュラー「清らかな小川」を解説!解釈・弾き方のコツ・練習方法

ブルグミュラー「清らかな小川」楽曲解説イメージ画像

ブルグミュラー25の練習曲、「進歩」に続く第7曲目は「清らかな小川」です。

原題は「Courant limpide」。昔の全音版では「清い流れ」と訳されていました。。他にも、「澄みきった流れ」「静かな小川の流れ」「きれいな流れ」といった邦題があるようです。

実際、川の流れのような流麗なメロディですが、どのように解釈し、どのように演奏すれば「清らかな小川」を音で表現できるのでしょうか?

弾き方のコツを確認していきましょう!

ブルグミュラー「清らかな小川」「清い流れ」の概要を解説

「清らかな小川」「清い流れ」は、ブルグミュラー25の練習曲の7番目に掲載されている曲です。

拍子は4分の4拍子、調はト長調です。

テンポ表示は「Allegro vivace」。「allegro(アレグロ)」は「快活な」「陽気な」という意味でしたね。

では、「vivace(ヴィヴァーチェ)」は?これも「速く」と訳されることが多いですが、もともとは「生き生きとした」といった意味です。

ラテン語の「生きる」という意味の言葉から派生していて、英語の「vitality(バイタリティ)」に当たります。生命力あふれる、といったニュアンスが強いのではないでしょうか。

一般に、「allegro」よりも「vivace」のほうが速いイメージで捉えられていて、「Allegro vivace」と並べて書かれていると、「allegro」と「vivace」の中間くらいのテンポで演奏されることが多いようです。

しかし、絶対的なものではないので、これらの言葉のニュアンスを汲み取って、どのようなテンポが最適かを検討する必要があるでしょう。

この曲もダ・カーポ(D.C. al Fine)による三部形式(A-B-A)です。

参考動画を掲載しておきますので、曲を聴いてイメージをつかみたい方はご参照ください。

「清らかな小川」「清い流れ」をどう解釈する?

この曲は、「清らかな小川」の題名が表す通り、清らかな水がゆらゆらと流れるようなメロディが特徴です。

そして、メロディが右手→左手→右手と切り替わるのが特徴です。

実際のところ、この曲左右の手が織り成す四声部で成り立っているのではないか、と思われます。

ベース(男声低音部)、テナー(男声高音部)、アルト(女声低音部)、ソプラノ(女声高音部)の四声部です。

Aの部分は、ベース(左手)、アルト(右手メロディー)、ソプラノ(右手分散和音)で、テナーはお休み。

Bの部分は、テナー(左手メロディー)、アルト(右手のラ音)、ソプラノ(右手サブメロディー)で、ベースがお休み。

このように考えると、立体的に演奏できるのではないでしょうか。

メロディーがアルトやテナーなど、中音域で現れるというのも特徴的ですね。

「清らかな小川」「清い流れ」の弾き方のコツは?

「清らかな小川」「清い流れ」の全体像や解釈のイメージをつかんだところで、いよいよ弾き方のコツについて、練習方法を交えて見ていきましょう!

さらさらとひそやかに流れる小川(A:1~8小節目)

出だしはpp(ピアニッシモ:ごく弱く)。そして、「mormorendo(モルモレンド)」と書かれています。

「mormorendo」という楽語を見る機会は少ないですが、「ささやくように」という意味です。

右手の三連符の動きに目が奪われがちなこの曲。三連符の最初の音は四分音符で書かれており、指が離れないように、音を保持しなければなりません。

この四分音符がメロディーとなるので、まずメロディーの音だけを実際に弾く右手の1の指で辿りましょう。

また、特筆すべきは左手のベースの動きです。なんと8小節間、「ソ・レ・ソ・レ」のみ!なのです。

この持続する低音に、メロディーを乗せてください。骨格となる、この響きを忘れずに。

三連符の動きは、分散和音となっています。

1・3・5・7小節目は、和音が変化しても、和音の真ん中の音である「レ」の音は変化しません。

ですから、「レ」の音を弾く2の指は固定したままで弾くと、無駄なく最小限の動きで弾くことができます。

2・4・6・8小節目は「ソシレ」の和音の転回です。

4小節目の下行する音型では、2拍目・3拍目・4拍目の三連符の2番目の音が倚音(いおん:和音の2度上の音から引っかける非和声音の一種)です。

連続する1・5・4という指使いで、まるで尺取虫のように、指を縮めたり伸ばしたりしながら移動しなければなりません(5の指が倚音に当たります)。

視線を上げると…(B:9~16小節目)

中間部では左手の音域が上がり、声域で言うとテナーの音域になります。

ここでは左手がメロディー。左手が主導権を握り、音楽を引っ張っていきましょう。

右手の三連符は拍の頭を欠いた音型で、左手のメロディーの後を追うように動きます。

三連符の二番目の音が左手のメロディーに添ってハモり、三連符最後の音は「ラ」で固定しています。

一つ前の曲「進歩」の13~14小節目とパターンが似ているので、同じ練習方法を取り入れるといいですね。

ただし、システマチックな動きだった「進歩」に対して、こちらは歌心を感じます。

イメージするのは、川の流れる様子をじっと見つめていた人がふと視線を上げると、川のそばでは草花が揺れ、蝶々がひらひらと舞っている…という情景。

Aの部分と比べて音域が上がったせいでしょうか。川面のきらめきをも表しているようです。

16小節目まで弾いたらD.C.(ダ・カーポ)による繰り返しですので、省略します。

「清らかな小川」「清い流れ」の練習方法は?

「清らかな小川」の解釈の部分で述べたとおり、この曲はベース(男声低音部)、テナー(男声高音部)、アルト(女声低音部)、ソプラノ(女声高音部)の四声部に分かれていると考えられます。

そのため、この曲では右手でソプラノとアルト、二声部を弾き分けなくてはなりません。

特に、Aの部分では左手のベースと右手のメロディー+分散和音の三声部をいっぺんにこなすのは大変なので、二声部ずつ、さまざまな組み合わせ(ベース+メロディー、ベース+和音、メロディー+和音)で練習しましょう。

  1. メロディーを把握(右手の1の指のみで、四分音符を辿る)
  2. 左手(ベース)+メロディーを弾く(骨格となる響きを作る)
  3. 右手の三連符を分散和音ではなく和音のかたまりとして弾く
  4. 楽譜どおりに右手のみ弾く(三連符の最初の音がメロディーとして浮き上がって聴こえるように、その他の音はかなり抑えて弾く)
  5. 左手(ベース)+④を合わせる(②で作ったベース+メロディーの響きを分散和音が邪魔していないか、よく聴きながら演奏する)

以上のような練習の手順を踏むとよいでしょう。

冒頭に「mormorendo(ささやくように)」と記されているとおり、A部分はpp、B部分もp(ピアノ:弱く)という指示で、全体的に静かな印象です。

しかし、その中でも音の上がり下がりに伴い、cresc.(クレッシェンド:だんだん強く)やdim.(デミヌエンド:だんだん弱く)などの抑揚を付けて、平坦な演奏にならないようにしたいものです。

ペダル記号が記されている楽譜もありますが、個人的にはつけなくてもいいんじゃないかという見解です(昔の全音版には無かった)。

ペダルを入れることで、Aの部分の右手で弾く四分音符など、弾き方があいまいになってしまうおそれがあるからです。

ペダル無しできちんと聴かせられるようになってからでしたら、導入としてペダルを使用するのはありかもしれません。

ペダルの踏み方については「ピアノのペダルの種類と踏み方|ピアノのペダルを踏むタイミングは?」をご参照ください。

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