タランテラ

ブルグミュラー「タランテラ」解説!解釈・弾き方のコツ・練習方法

ブルグミュラー「タランテラ」楽曲解説のイメージ画像

このページでは、ブルグミュラー作品「タランテラ」について解説していきます

楽曲の概要や「タランテラ」の言葉にある背景などを確認しつつ、弾き方のコツを練習方法を交えて見ていきましょう!

ブルグミュラー「タランテラ」の楽曲の概要を解説

「タランテラ」は、ブルグミュラー25の練習曲の20番目に載っている曲です。

発表会に最適な作品のひとつで、とてもよく演奏されていますね。

「タランテラ」の楽譜は見開きで2ページにわたりますが、この曲から最後の曲まで見開き2ページの長めの曲が続きます。

拍子は8分の6拍子、調はニ短調です。

テンポ表示は「Allegro vivo」。「vivo(ヴィーヴォ)」はイタリア語の「vivere(生きる)」が語源で、「生き生きと」という意味です。

Allegroとセットで使われることも多く、「陽気に速く、生き生きと」という意味になり、Allegro単体よりもニュアンスとして若干速めのテンポが想定されます。

イントロ-A-B-A-C-A-Codaの小ロンド形式です。

ロンド形式とは、あるメロディ(ここではA)を繰り返しつつ間に異なるメロディ(ここではBやC)を挟む形式のことです。

そして、「タランテラ」のようなA-B-A-C-Aといった構成を「小ロンド形式」、さらに拡大したA-B-A-C-A-B-Aという構成を「大ロンド形式」と呼びます。

また、「タランテラ」の学習のポイントを確認しておきましょう。

「タランテラ」の特徴は、指替えが頻出することです。

指を替えなくても弾ける箇所もありますが、指を替えることでアーティキュレーションがつきます。

自然に音のまとまりを作ることができたり、アクセントをつけることができたり、表現の向上にもつながります。

なので、指替えが自然にできるようになるまで繰り返し練習しましょう。。

以下に「タランテラ」の参考動画を載せておきますので、イメージをつかむのにご参照ください!

「タランテラ」を解釈するために

「タランテラ」の原題は"La tarentelle"です。

"La tarentelle"の由来ですが、イタリア・ナポリの舞曲でありタラントという町の名前に由来する説や、同じく町の名前を由来とする毒蜘蛛・タランチュラに刺されたときの踊りとする説があります。

ネット上の動画で踊りのステップを見ると、いかにも毒蜘蛛に刺されて飛び上がっているようなので、私は後者の説を支持したいです。

Wikipedia(日本語版)でタランテラについて調べると、有名な曲として、トップにブルグミュラーのタランテラが!

他に、ショパン作曲のタランテラ(op.43)やリスト作曲《巡礼の年》第2年補遺「ヴェネツィアとナポリ」第3曲タランテラがあります。

「タランテラ」の弾き方のコツ・練習方法は?

タランテラの概要や背景などを確認したところで、続いては弾き方のコツを練習方法を交えて見ていきましょう!

常にタランテラのリズムを感じて

「タランテラ」ではなんと言っても、「タタタ タタタ」「タッタ タッタ」というリズムが特徴的です。

1小節を大きく2拍に取りつつ、脈拍のように、常にこのリズムが流れているのが基本。

イントロではまず4小節にわたり、「タタタ タタタ」のリズムで上行・下行をユニゾンで2回繰り返します。ここは大きなうねりを出したいところ。

出だしにfと書いてありますが、大きな音で始めてしまうと、その後のsfがあまり活きません。

ですから、この場合は音量を落として弾き始め、一気に次の小節のsfに向けて音量を上げていくほうが緊張感も出て、効果的です。sfの後もすぐに音量を落とし、落差をつけましょう。

5~8小節目は四分音符なので、短くなり過ぎないように。しっかり止め、力強さを出しましょう。

Aメロ、Bメロのフレーズは、常に八分音符のアウフタクトで始まります。

イントロの終わり、休符にフェルマータが付いていますので、ここでしっかり「タタタ タタタ」「タッタ タッタ」のタランテラのリズムをイメージし、そのリズムに乗って弾き始めましょう。

基本リズムは八分音符3つのまとまりでスラーが付いているのですが、10小節目の後半から次の小節の1拍目にかけて、13小節目後半から15小節目の1拍目にかけてなど、ところどころ変化球的に長めのスラーが出てくるので対応しましょう。

左手の三和音はスタッカートになりがちですが、楽譜をよく見ると、付点四分音符でスタッカートは付いていません。

音を延ばし過ぎて重くなってしまうのも考えものですが、あまり鋭く切ってしまわないように、ちょっと気に留めておいてくださいね。

Bメロにはleggiero(軽く)と書いてあるのですが、たいていつまづくんですよねぇ。

それをわかって、ブルグミュラー先生も注意を促しているのかもしれません。

遅れる原因は、音の動きに追いついていないから。ここはまず、音の動きを把握することを優先しましょう。

①左手の和音の動きをチェック
②リズムを刻まず、右手の拍の頭の音だけ(ラ→ソ→ミ→レ→ファ→ミ→ラ…)をすべてレガートでつなげて弾く(指使いを守ること)

それから、①と②を合わせて、両手で弾いてみます。

ゆっくりから少しずつ速く、そして本来のテンポまで上げることができたら、楽譜どおりの「タッタ タッタ」のリズムにしても、すぐ対応できますよ。

それから、Bメロ後半(21~24小節目)。左手は分散和音の音型に変化するので、ここもまた、遅くなってしまいがちな箇所です。

テンポ感をつかむために、まずは拍の頭の音だけ入れて弾いてみましょう。

そのタイミングを変えないようにして、他の音を入れます。拍の頭の音の勢いを利用して、他の音は軽く指を落とすのがコツです。

その後のAメロ後半(29~32小節目/53~55小節目)の分散和音も同様。

左手を和音のかたまりで連続して捉えられるようになってから、上記の練習に進みましょう。

動きが変化するCメロをどう表現する?

Cメロ(33~48小節目)ではニ長調に転調しますが、この部分を弾きにくいと感じる人は多いと思います。

というのは、Cメロは「タタタ タタタ」「タッタ タッタ」のタランテラのリズムから離れるからです。

急に動きが止まったようで、戸惑うのではないでしょうか。

Cメロは2小節でひとまとまりのゆったりした4拍子だと考えると腑に落ちます。ですから、いったん頭を切り替えるといいですね。

つい音が大きく弾いてしまいがちですが、pなので注意。
音が上行するに従い、cresc.して36小節目でsfです。このとき、右手はスラーになりますが、左手はそのままスタッカート。

しかし、うっかりすると右手につられて長めになってしまうので、前後と同じように弾けているかどうか、よく聴いてください。

このsfのところで左手の和音に♯ソが使ってあるのが効いています。

普通のソでも和声的に成り立ちますが、この半音変化で耳が惹きつけられるんですよね。

装飾音符は拍の前に出して弾くこと。

後半、41~44小節目の装飾音符で書かれているメロディが、45~48小節目の「タッタ タッタ」のリズムと同じようになってしまう人も多いです。

しかし、ここは書き方を変えているのですから、同じリズムになってはダメ。

注意点としては、

①装飾音と次の四分音符をなるべくくっつけて弾く(装飾音符を長くし過ぎない)
②装飾音符の後の四分音符の長さを保つ(短くならない)
③四分音符の後の八分休符が短くなり過ぎない

「タッタ タッタ」のリズムと同じになってしまう原因としては、まず②ができていないということが考えられます。

四分音符の長さを保てないから装飾音符も早く弾き始めてしまい、そうするとテンポが保てないから装飾音符を長めにすることで辻褄を合わせようとしてしまいます。

それで、「タッタ タッタ」と同じリズムになってしまうのです。

この部分は、2つのパートの違いを意識して弾いてくださいね。

エスニックな雰囲気も漂わせつつ…Coda

57小節目からのCodaは、イントロのメロディをなぞりつつ、ユニゾンではなく、左手で三和音を入れる形となっています。

音域も1オクターブ高くなっていますね。

61小節目からはさらに上行して高音域へ。ここで現れるのは、アラビア音階です。

和声的短音階の4番目の音が半音上がることで増音程が増えます。だから、弾きにくいんですね。

でも、ここが♯ソになることでぐっと洒落た雰囲気に…。Cメロの和音で♯ソを投入したのも、ここへの伏線?

dimin. e poco riten.でそのまま消えていくように終わるかと思いきや、最後の2小節で断ち切るように、fで主和音を鳴らすこと3回。鮮やかなエンディングです。

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