天使の合唱

ブルグミュラー「天使の合唱」解説!解釈・ペダル奏法の弾き方と練習方法

ブルグミュラー「天使の合唱」イメージ画像

このページは、ブルグミュラー25の練習曲の「天使の合唱」(天使のハーモニー)を解説するものです。

「天使の合唱」の楽曲の解釈の仕方や、ポイントとなるペダル奏法の弾き方及び練習方法について詳しく学んでいきましょう!

ブルグミュラー「天使の合唱」(天使のハーモニー)の概要を解説!

「天使の合唱」は、ブルグミュラー25の練習曲の21番目に掲載されている曲です。

拍子は4分の4拍子、調はト長調です。

テンポ表示は「Allegro moderato」です。

Allegroは「陽気な・快活な」という本来の意味が転じて、「速く」という意味で使われます。

そして、「moderato」には「節制のある」「適度な」といった意味があります。

速く演奏するけど、速すぎないよう節度を持って、といったイメージでしょうか。

楽曲の形式は、A-B-A-Codaの三部形式です。

以下に参考動画を乗せておきますので、イメージをつかむためにご参照ください。

「天使の合唱」を解釈するために

「天使の合唱」の原題は「L'harmonie des anges」です。直訳すると「天使たちのハーモニー」です。

「harmonie」は、「調和」「和声」といった意味になります。「合唱」は、フランス語で「chœur」になるので、厳密に言うとちょっとニュアンスが違いますね。

かつての全音版では「天使の声」というタイトルでした。これだと天使が複数いるということがわからないし…日本語に置き換えるのが難しいタイトルかもしれません。

直訳して「天使のハーモニー」としている場合もあります。逆に無理に漢字にせずともこちらの方がしっくりくる気がします。

タイトルと関連して、曲の冒頭には「armonioso(アルモニオーソ)」と書かれています。「調和して」「和声的な」という意味です。

広い音域をアルペジオ(ハープを奏でるような分散和音)で行き来している曲なので、天使が竪琴(ハープ)をかき鳴らしているかのように、「調和した」「和声的な」響きを聴かせたい曲です。

後ほど詳しく説明しますが、この曲は豊かな響きを出すためにも、ペダルの使い方が演奏の鍵となります。

「天使の合唱」の弾き方のコツ・練習方法は?

ブルグミュラー「天使の合唱」の概要や解釈のポイントなどを確認したところで、いよいよ弾き方のコツを練習方法を交えながら見ていきましょう!

Aメロ(1~8小節目/17~24小節目)を和音で理解しよう

上述したように、「天使の合唱」のポイントは「調和的な」「和声的な」響きにあります。

そのため、まずは楽曲がどのような和音で構成されているか分析して、アルペジオに限らず、和音のかたまりでつかんでおきましょう。

参考までに、1~8小節目にコードネームをつけていきます。

1小節目:G(ソシレ)
2小節目:G(ソシレ)
3小節目:C(ソドミ)…転回形
4小節目:G(ソシレ)
5小節目:D7(レ♯ファラド)
6小節目:G(レソシ)…転回形
7小節目:D7(レ♯ファラド)
8小節目:G(ソシレ)

和音をつかめるようになったら、そのまま順番に、指を鍵盤に落としていくだけです。

それぞれの和音の指の形を記憶し、かたまりごとにさっと指の形を変化させます。

この時、バタバタと指の形を変えながら弾くのではなく、さっと指の形を変えて指先を鍵盤に置いてから弾くようにしましょう。

上行したらcresc.して、下行したらdim.するというふうに、音の動きに従って山なりに、ふくらみを付けたいですね。

基本的には、1小節ごとにペダルを踏み替えていくことになります。

ペダルを使う際の注意点

注意したいのは、ペダルで音が残るからといって、音価(各音の時間的な長さ)があいまいにならないように、ということです。

特に注意すべきは、右手の最後の四分音符です。続いて左手が出てくるので音が短くなりがちですが、ペダルがあるからと言ってすぐに指を離さず、四分音符の音価分をしっかり指で押し続けるようにしてください。

ただし、次の1拍目では、右手は四分休符なので指を鍵盤から離すこと。

ペダルを踏み替えたときに右手の音が残ってしまわないように、すっきりと左手の音だけが響くようにしてくださいね。

Bメロ(9~16小節目)の和音の表現の仕方は?

9小節目からは、A-B-AのBの部分に入ります。そして、ここでホ短調に転調します。

2小節にわたってホ短調の主和音を転回しつつ、上昇します。このパターンは、他のブルグミュラー25の練習曲でもよく登場した、テラス式クレッシェンドですね。

テラス式クレッシェンドとは、かたまりごとに段階的に音を大きくしていくcresc.の技法です。

バロック時代にしばしば見られた表現方法で、かたまりごとに階段を上っていくようなイメージです。

音の大きさを変化させたことを際立たせるために、最初のかたまりは抑えめに弾くことがポイントです。

そして、この2小節間はペダルを踏み替えず、Em(ミソシ)の響きを広げましょう。

12小節目、3拍目の後ろの2音は今までとパターンが異なり、前の音をなぞっていませんから注意してくださいね。間違えやすいところです。

続く4拍目の後ろ2音、左手で弾くところも同様です。

13小節目からは左手が二分音符のロングトーンになり、主導していきます。チェロで朗々を歌い上げる感じ。その後を受けて、右手が動きます。

Coda(25~33小節目)の和音はどう奏でる?

25小節目からは、Codaに入ります。

音型はAメロを踏襲していますが、さらに音域が上昇し、広がっていきます。コードで表すと、以下の通りです。

26小節目:G7(ソシレ♮ファ)
27小節目:C(ソドミ)…転回形
28小節目:Cm(ソド♭ミ)…転回形
29小節目:G(ソシレ)

この部分の1拍目、左手の三連符の和音は、そのまま延ばすように楽譜に書かれています。

そこが今までと弾き方が異なりますから、気を付けましょう。

そして、31小節目後半からガラッと雰囲気が変わります。

コラール(ルター派の信者が歌う、ドイツ語の歌詞と単純で歌いやすいメロディの混成四部合唱(ソプラノ、アルト、テノール、バス)による讃美歌)のような四声体にしては、らしからぬ強烈な響き(sfが付いています)。

全音の旧版では「♭ミ♭シ♯ドソ」となっていました。これは和声学で言うところの「ドイツの増六」と言われる和音です。

しかし!本来は「♮ミ♭シ♯ドソ」が正しいということで、新版では修正されています。

この和音も減七の和音なのでインパクトはあるのですが、ドイツの増六と比べると多少物足りない印象を受けます・・・。

さて、ここでは「Più lento」と表記されています。

「più(ピウ)」とは「より多く」、プラスの方向ですね。「lento」は「遅く」の意味です。つまり、「前よりも遅く」。

どのくらい遅くすればよいのか、迷う人も多いのではないでしょうか。

ヒントとしては、sfから次の和音pの音量まで減衰するのにかかる時間を目安にするとよいのではないかと思います。

それから、右手の「シ→ラ→ソ」のスラーは絶対切れないように!

特に、ラからソに行くときにペダルの踏み替えが入るので、右手の4の指が鍵盤から離れないように、しっかりキープしておかなくてはいけません。

最後の和音はppです。トップの「ソ」の音はかき消えないようにしつつ、ゆっくりと静かに押しましょう。

ペダルは耳で踏め?!「天使の合唱」はペダル奏法の習得におすすめの曲

上述しましたが、「天使の合唱」広い音域をアルペジオ(分散和音)で行き来している曲です。

そのため、天使が竪琴(ハープ)をかき鳴らしているかのように、「調和した」「和声的な」響きを聴かせたいものです。

ハープという楽器は、手で弦を押さえて振動を止めない限り、弾いた弦の響きが残るのが特徴です。
そのようなハープを表現するときに、カギとなるのがダンパーペダルの使い方です。

ペダルを使用する際のポイントは、鍵盤を押した直後にペダルを踏むという「後踏み」のタイミング。

タイミングが早すぎると、前の音まで残してしまって音が濁ってしまうし、遅すぎると響かせたいベースの音が残らず抜けてしまいます。

それがこの曲はわかりやすいので、よく聴きながら、最適なタイミングで踏み替えができるように練習しましょう。

最後に、ペダル奏法を習得する上で大事な考え方をご紹介しておきます。

ペダルを使用する際に重要な考え方は、「ペダルは耳で踏む」ということです。

というのも、まだペダルの踏み方に慣れない頃、教わっていた先生から「ペダルは耳で踏みなさい」と指導を受けたことがあります。

足じゃなくて耳?!そのココロは、耳で音を確認しながら最適なペダルの踏むタイミングをつかみなさいということです。

このタイミングでペダルを踏んだらこんな響きになる、ちょっと遅くしてみたらこんな響きになった・・・

このような、足の感覚と耳の感覚とを一致させながら練習することが大切なのです。

それぞれの曲で求められる響きの長さや強弱は、それぞれ異なるはずです。

ところが、足でタイミングを機械的に覚えてしまっては、同じような響きしか得られなくなります。

それよりも、っ自分がっ揚言したい響きをイメージして、その響きに合ったペダルの具合を耳でつかんでいく・・・そんな地道な作業の繰り返しが、ペダル奏法上達にはいちばん効果的なのです。

ペダル奏法の習得も、最初が肝心です。最初になんとなくで反復してしまうと、それが当たり前になってしまいます。

ペダルが創る響きに厳しく耳を澄ませて、より美しい響きを生み出せるよう訓練していきましょう!

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