バルカロール(舟歌)

ブルグミュラー「バルカロール(舟歌)」解説!弾き方のコツ・練習方法

ブルグミュラー「バルカロール」(舟歌)楽曲解説イメージ画像

このページでは、ブルグミュラー作品の中から「バルカロール」(舟歌)について解説していきます。

バルカロールという言葉にはどのような意味があり、それをどのように表現したらいいのでしょうか?一緒に学んでいきましょう!

ブルグミュラー「バルカロール」(舟歌)の概要を解説

「バルカロール」(舟歌)は、ブルグミュラー25の練習曲の22曲目の曲です。

拍子は8分の6拍子、調は変イ長調です。ブルグミュラー25の練習曲の中で、一番調号の数が多いです。

やはり、ショパンの舟歌(作品60、嬰ヘ長調)を多少は意識しているのでしょうか。

テンポ表示は、「Andantino quasi Allegretto」。

「quasi(クアジ)」は「ほとんど~のように」という意味ですので、「Allegretto(やや速く)に近いAndantino」という指示になります。

Andantinoより速く、ただAllegrettoには満たないくらいの速度が求められます。

楽曲の形式は、イントロ-A-B-A-Codaの三部形式です。

以下の参考動画もご参照ください。

バルカロールとは?

バルカロールの原題は"Barcarolle"です。

Bracarolleとは、8分の6拍子や8分の12拍子などの複合拍子で、低音部では比較的単純な、波間を揺れるようなリズムが繰り返されるのが特徴のキャラクター・ピース(性格的小品)を表す言葉です。

メンデルスゾーンが《無言歌集》で「ヴェネツィアのゴンドラの歌」を作曲したのが早い例だそうです。

他に、ショパンやフォーレ、チャイコフスキーなどの作品も有名ですね。

「バルカロール」(舟歌)の弾き方のコツと練習方法

「バルカロール」(舟歌)の概要を確認したところで、この曲の弾き方のコツを練習方法とともに見ていきましょう!

壮大なオープング~イントロ(1~12小節目)

「バルカロール」(舟歌)では、1~12小節目までイントロが続きます。

1~2小節目はユニゾンで波間を揺れるようなリズムを表し(pp)、3~4小節目では3つの和音でcresc.してsfへ、というコントラスト。

5~8小節目も同様で、特に7~8小節目の和音の広がりは、壮大な映画のオープニングを彷彿とさせます。

この部分、特に和音の連続するところはぶつ切りに聞こえないように、フルオーケストラの豊かな音量をイメージするといいかもしれません。

9~12小節目が、Aメロへと続く本来のイントロという気がします。右手から左手へとやり取りしながら、バルカロールのリズムを作っていきます。

ヴェネツィア湾のラグーナの全景からズームアップして、街中の運河をゴンドラが行き交う様子に焦点を合わせていくようなイメージです。

たゆたうリズムに乗って、Aメロはcantabile(カンタービレ)で(13~20小節目/32~39小節目)

13小節目でようやくA-B-AのAの部分に入ります。

左手の「タッタ タッタ」のリズムに乗って、右手はメロディを奏でます。

「cantabile」と書いてありますね。これは「歌うように」という意味です。

メロディの流れを見ると、4小節のまとまりの中で、2小節目の頭に向かってcresc.した後は、ゆるやかにdim.する感じです。

左手は歯切れよくはずむのではなく、手首を柔らかく使って、たゆたうようなニュアンスを出しましょう。

躍動感のあるBメロ(21~31小節目)

21小節目からは、Bのパートに入ります。

Aメロでは4小節でひとまとまりでしたが、ここではまとまりが2小節単位に変わります。

また、23小節目と24小節目、28小節目と29小節目、30~31小節目では、反復しながら変化する音型を畳み掛けることで、躍動感が出てきます。

反復する音型で強弱の変化をつけることで、さらにメリハリが付きますね。

Codaはlusingando(ルジンガンド)で(40~47小節目)

40小節目からはCodaです。

「lusingado」と書かれています。使用頻度は少ない楽語ですが、13曲目「コンソレーション(なぐさめ)」にも出てきました。

dolceと同じく「優しく」「甘く」という意味ですが、dolceがお菓子の甘さだとしたら、lusingandoのほうは「媚びるように」といった意味があるそうです。

ゴンドラは逢引の場としても使われたようですから、そう考えると「色っぽく甘美に」といったニュアンスが感じられます。

40~43小節目の動きや反復はBメロを思わせますが、その躍動感は胸の高鳴り?

44~47小節目は1~4小節目のモチーフがそのまま使われており、「perdendosi(ペルデンドシ)」と表示されています。

これは「消えるように」という意味で、実際には「だんだん遅くしながらだんだん弱く」演奏します。

ゴンドラがだんだん遠ざかっていくようですね…。

「perdendosi」以外にも「だんだん遅くしながらだんだん弱く」演奏することを表す楽語がありますので、その本来の意味とともに列挙します。

smorzando(スモルツァンド):和らげる、鎮めるように
calando(カランド):下がる、沈むように
morendo(モレンド):命の絶えるように

ここにテキストを入力

いずれの楽語もよく使用されるので、ニュアンスの違いを知って、表現してくださいね。

ゆらぎを感じることが音楽的表現につながる

この曲のポイントは、波間を漂うようなバルカロールのリズムの中でゆらぎを感じつつ、メロディを歌うことではないでしょうか。

このゆらぎを感じるというのは、テンポ・ルバート(Tempo rubato)の感覚につながるように思えます。

テンポ・ルバート(Tempo rubato)とは、直訳すると「盗まれたテンポ」の意味で、全体の基本的なテンポは崩さず、個々の音符の長さを変化させるということです。

延ばした分はどこかで縮めることでつじつまが合い、全体的なテンポ(時間)は変わらないわけで、つまり、基本的なテンポを保った上でのゆらぎなのです。

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