オラトリオ

オラトリオとは?意味は?歴史や有名な曲を紹介【メサイア・天地創造】

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このページでは、オラトリオの意味や、歴史、オペラ・カンタータとの違い、有名な曲などについて、まとめています。

オラトリオという言葉は、簡単に言ってしまえば、「宗教的な題材を扱った劇場ではなく演奏会向けの比較的長めの音楽作品」といった意味を表します。

オラトリオの意味は、歴史や、同じ声楽曲に分類されるオペラ・カンタータとの違い などを見ることによって、より深く理解することができます。

ページの最後には代表作の動画なども載せていますので、ぜひ「オラトリオ」を理解し楽しんでください♪

オラトリオとは?意味をわかりやすく

まずは、「オラトリオ」という言葉の意味を簡単に確認しておきましょう。

オラトリオをまとめると?

オラトリオとは、宗教的な題材を扱った長編の声楽曲であり、基本的にはオーケストラの演奏を伴います。日本語では「聖譚曲」(せいたんきょく)とも呼ばれます。

同じ声楽曲でも、オラトリオは舞台装置や演技などを伴わない点で、オペラとは異なります。

また、オラトリオはカンタータと比べて長編でドラマティックであり、宗教的な場面でなくコンサート会場で演奏されるのが普通です。

以上がオラトリオについて要点をまとめたものになりますが、ここからはオラトリオについてさらに詳しく深堀していきます。

英文から紐解くオラトリオ

オラトリオの意味については、"Vocabrary.com Dictionary"と"Merriam-Webster"というサイトによくまとまっているので、引用して見比べてみましょう。

An oratorio is a musical piece that is usually lengthy and based on some Biblical or religious event. It is a performance for voice and orchestra, but the story is told through the music, and not with scenery, costumes, and action.

――Vocabulary.com Dictionary "Oratorio" (https://www.vocabulary.com/dictionary/oratorio)より抜粋

【 日本語訳 】
オラトリオとは、ほとんどの場合尺が長く聖書や宗教の出来事に基づいた音楽作品のことを指す。オラトリオは、声楽と管弦楽による演奏であるが、舞台装置や衣装、動作などではなく音楽によって物語を伝えるものである。

Definition of oratorio
a lengthy choral work usually of a religious nature consisting chiefly of recitatives, arias, and choruses without action or scenery

――Merriam-Webster "oratorio" (https://www.merriam-webster.com/dictionary/oratorio)より抜粋

【 日本語訳 】
オラトリオの定義
ほとんどの場合に宗教的な性質を持ち、主にレチタティーボやアリア、合唱から成るが、動作や舞台装置を含まない、長めの合唱作品

以上のオラトリオに関する説明から、オラトリオはおおむね、以下のような特徴を持つことがわかります。

  • 宗教を題材としている
  • 長めの音楽作品である
  • 声楽的表現がメインである
  • 舞台装置や衣装、動作などの要素は含まない

つまり、オラトリオは、宗教を題材とした声楽メインの音楽作品なのです。

しかしながら、舞台装置や動作などを要素に含まないのは、オペラと異なる点でしょう。この点については後ほど詳しく見ていきます。

オラトリオの語源は?

続いて、語源から「オラトリオ」という言葉を紐解いていきましょう。

「オラトリオ」という言葉の起源については、Collins English Dictionaryによくまとまっているので以下に引用します。

Word origin of 'oratorio'
C18: from Italian, literally: oratory, referring to the Church of the Oratory at Rome where musical services were held

――Collins English DFictionary "Definition of 'oratorio'" (https://www.collinsdictionary.com/dictionary/english/oratorio)より抜粋

【 日本語訳 】
「オラトリオ」の語源
18世紀: イタリア語発祥、逐語:oratory、教会の礼拝堂を表す言葉であり、そこでは音楽的な儀式が催されていた。

以上より、オラトリオとは、宗教的な音楽が奏でられていた教会の礼拝堂を表す"oratory"という言葉に端を発する言葉であることがわかります。

オラトリオの定義にもありましたが、やはり、宗教的な側面が大きい言葉なのですね。

オラトリオの歴史

オラトリオの大まかな意味を確認したところで、続いては、オラトリオの歴史を概観していきましょう。

オラトリオの歴史に関しては、liveaboutdotcomという英文の娯楽専門サイトが詳しくまとめてくれているので引用します。

Often cited as the first oratorio is the February 1600 presentation at the Oratoria della Vallicella in Rome, called the "Representation of Soul and Body" (La rappresentazione di anima e di corpo) and written by the Italian composer Emilio de Cavalieri (1550–1602). Cavalieri's oratorio included a staged presentation with costumes and dancing. The "father of the oratorio" title is usually given to the Italian composer Giacomo Carissimi (1605–1674), who wrote 16 oratorios based on the Old Testament. Carissimi both established the form artistically and gave it the character we perceive it today, as dramatic choral works. Oratorios remained popular in Italy until the 18th century.

――liveaboutdotcom "The Oratorio: History and Composers"(https://www.liveabout.com/what-is-the-oratorio-2456845)より抜粋

この説明を日本語に訳すと以下のような意味になります。

多くの場合に初のオラトリオとして引き合いに出されるのが、1600年の2月にローマのOratoria della Vallicellaで上演された、"Representation of Soul and Body"(伊:La rappresentazione di anima e di corpo)という作品で、エミリオ・デ・カヴァリエーリ(1550~1602)というイタリア人作曲家によってつくられた。カヴァリエーリのオラトリオは、衣装やダンスを用いた舞台上の演出を含むものだった。ほとんどの場合に、「オラトリオの父」という称号で呼ばれるのは、イタリア人作曲家のジャコモ・カリッシミ(1605~1674)であり、旧約聖書に基づいて16ものオラトリオを書き上げた人物である。カリッシミは、芸術的にオラトリオの形式を整え、また、オラトリオを今日私たちが知る姿—戯曲的な合唱作品—へと仕立て上げた。オラトリオは、18世紀までその人気が続いていた。

この記述からオラトリオの歴史を抽出すると、以下のようなポイントにまとめることができます。

  • 1600年に最初のオラトリオが上映された
  • エミリオ・デ・カヴァリエーリが創始者
  • ジャコモ・カリッシミが今日の姿を創り上げた
  • 18世紀頃まで流行した

この記述からわかるのは、最初期のオラトリオは、舞台装置や動作をその要素に含むものであったということです。

それから徐々に改良が重ねられ、舞台装置や動作を含まない、純粋な声楽の長編作品としてのオラトリオへと姿を変えていったことがわかります。

オラトリオと他の声楽曲の違い

オラトリオと同じ声楽曲に分類される言葉として、「オペラ」や「カンタータ」があります。

オラトリオとこれらの声楽曲には、どのような違いがあるのでしょうか。この章で詳しく見ていきましょう。

オラトリオとオペラの違い

オラトリオとオペラの違いについては、PEDIAAというサイトで端的にまとめられていたのでご紹介します。

The main difference between opera and oratorio is that opera uses costumes, scenery, and dramatic action whereas oratorio uses none of these elements. In other words, oratorio is a concert piece whereas opera is musical theater.

――PEDIAA "Difference between Opera and Oratorio" (https://pediaa.com/difference-between-opera-and-oratorio/)

オペラとオラトリオの大きな違いは、オペラは衣装や舞台装置、戯曲的な動作が用いられるのに対して、オラトリオにはそれらの要素が用いられないことである。言い換えると、オラトリオは演奏会のための楽曲であるのに対して、オペラは音楽劇場向けの楽曲なのである。

以上からわかることは、オペラは劇場向けの作品であり、衣装や舞台装置、動作なども要素に含まれるのに対して、オラトリオは衣装や動作などの要素を含まず、純粋な演奏会向けの楽曲であるということです。

オペラは「演じる」ものであるのに対して、オラトリオは「奏する」ものであると考えることもできますね。

また、オラトリオとオペラにはもう一つの大きな違いがあります。以下は、Music 101という英文サイトからの引用です。

A particularly important difference is in the typical subject matter of the text. Opera tends to deal with history and mythology, including age-old devices of romance, deception, and murder, whereas the plot of an oratorio often deals with sacred topics, making it appropriate for performance in the church.

――Music 101 "Oratorio"(https://courses.lumenlearning.com/suny-musicapp-medieval-modern/chapter/oratorio/)より抜粋

以上の説明を、日本語に訳してみましょう。

とりわけ重要な違いは、作品を象徴する素材にある。オペラは恋愛や策略、殺人などの古くからある修辞的技巧を含む歴史や神話を扱うのに対して、オラトリオの筋書きは多くの場合、教会での演奏にふさわしい宗教的な題材を扱っている。

これはつまり、オペラが神話や歴史などを題材にしているのに対して、オラトリオは宗教や聖書などを題材にしている点が異なる、ということです。

ここまでを踏まえて、オラトリオとオペラの違いは以下のようにまとめることができます。

  • オペラは衣装や舞台装置、動作などを要素に含むが、オラトリオはそれらを含まない
  • オラトリオは演奏会向け、オペラは劇場向けの作品である
  • オペラは神話や歴史などを題材にし、オラトリオは宗教や聖書などを題材にする

オラトリオとカンタータの違い

また、声楽曲に分類されるものとして、「カンタータ」と呼ばれるものもあります。

カンタータは「ソナタ」と対になる言葉であり、(ソナタが「器楽曲」を表すのに対して)「声楽曲」という意味を表します。

ほとんどの場合、メインの声楽に楽器による伴奏がつきます。

では、この「カンタータ」という言葉は、「オラトリオ」と何が異なるのでしょうか?

この点に関しては、英文サイトQuoraによくまとまっているのでご紹介します。

Differences are: 1. Cantatas are usually much shorter in length. 2. Oratorios are usually more dramatic. Think of them as operas with no sceneries and costumes. 3. Cantatas were usually performed in religious settings (such as part of a service or special church events), compared to Oratorios were performed in concert setting.

――Quora "What is the difference between a cantata and an oratorio (because there's the sacred cantata and there's the sacred oratorio, there's the secular cantata and there's the secular oratorio) I don't see any difference between the two?"(https://www.quora.com/What-is-the-difference-between-a-cantata-and-an-oratorio-because-theres-the-sacred-cantata-and-theres-the-sacred-oratorio-theres-the-secular-cantata-and-theres-the-secular-oratorio-I-dont-see-any-difference-between-the-two-1)より抜粋

違いは以下のとおりである:
1. カンタータは(オラトリオと比べて)長さが非常に短い。
2. オラトリオの方がよりドラマティックである。オペラに舞台装置や衣装がないものと考えるとよい。
3. オラトリオがコンサート会場で演奏されるのと比べて、カンタータはほとんどの場合、宗教的な場面で演奏される(儀式や特別な教会のイベントなど)。

非常によくまとまっていますね。

カンタータの方が短く宗教的な場面向きで、オラトリオの方が長くドラマティックで演奏会向き、と考えるとよいでしょう。

有名なオラトリオは?代表曲をピックアップ

オラトリオについて詳しく学んだところで、続いてはオラトリオに分類される代表的な曲を見てみましょう。

ヘンデル「メサイア」~ハレルヤ~

もっとも有名なオラトリオのひとつに、ヘンデルの作曲した「メサイア」があります。

Music 101というサイトがメサイアをわかりやすく解説してくれているので引用します。

Messiah (HWV 56) is an English-language oratorio composed in 1741 by George Frideric Handel, with a scriptural text compiled by Charles Jennens from the King James Bible, and from the version of the Psalms included with the Book of Common Prayer. It was first performed in Dublin on 13 April 1742 and received its London premiere nearly a year later. After an initially modest public reception, the oratorio gained in popularity, eventually becoming one of the best-known and most frequently performed choral works in Western music.

――Music 101 "Messiah"(https://courses.lumenlearning.com/suny-musicapp-medieval-modern/chapter/messiah/)より抜粋

メサイアは、ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルによって1741年に作曲された英語を原語とするオラトリオであり、チャールズ・ジェネンズが欽定訳聖書、および聖公会祈祷書の聖歌の訳本を基に編集した聖書に関する文章が用いられている。メサイアが最初に上演されたのは1742年4月13日のダブリンにおいてであり、ほぼ1年後にはロンドンで初演を果たしている。はじめは観客の反応は控えめであったが、メサイアは徐々に人気を獲得し、最終的には西洋音楽の中で最も有名で頻繁に演奏される合唱曲のひとつにまでのぼりつめた。

メサイアは、日本語で言うところのメシア(救世主)を表す言葉であり、イエス=キリストにまつわる物語です。

曲中に登場する「ハレルヤ」という歌詞は、誰でも耳にしたことがあるくらい有名すぎるフレーズです。

以下にメサイアの動画を載せておきますので、ぜひご覧になってみてください。

ハイドン「天地創造」

続いてご紹介するのは、ハイドンの「天地創造」という作品です。

天地創造については、兵庫芸術文化センター管弦楽団による説明が特によくまとまっていておすすめです。

以下に冒頭部分だけ引用を載せておきます。ご興味のある方はぜひリンク先の説明をご覧になってみてください!

世界は神により7日間で作られた(ただし7日目は休日)という、キリスト教の旧約 聖書の「創世記」の、主として第1章を題材とした壮大なオラトリオーそれがこの 「天地創造」である。
――兵庫芸術文化センター管弦楽団「ハイドン :天地創造」より引用。

この説明にある通り、「天地創造」は(キリスト教の)神によって世界がつくられたと言われる7日間のドラマを題材にしたものです。

ハイドンはいくつかオラトリオを作曲していますが、その中でも特に有名な作品です。

以下に動画を貼っておきますので、ぜひ一度はご覧になってみてください。

J.S.バッハ「クリスマス・オラトリオ」

最後にご紹介するのは、J.S.バッハの「クリスマス・オラトリオ」です。

バッハは複数のカンタータを作曲していますが、その中でもクリスマス・オラトリオはとても有名な作品です。

クリスマス・オラトリオは、オラトリオとは言っても、複数のカンタータを組み合わせて作られた作品です。

こちらも長い作品ではありますが、お時間があればぜひ聴いてみてください!