このページは、音楽小説である大島真寿美 著「ピエタ」をご紹介するものです。
あなたは、「ピエタ」という言葉をご存知でしょうか?
ピエタとは、作曲家ヴィヴァルディが音楽の先生として通っていた孤児院のことです。
そして、小説の中には、そんなピエタを舞台とする物語が存在します。
このページでは、ヴィヴァルディの魅力を再発見できる音楽小説「ピエタ」の魅力をご紹介していきます♪
大島真寿美「ピエタ」の概要
まずは、「ピエタ」の概要をご紹介します。
- 著書名:ピエタ
- 著者:大島 真寿美
- 発行所:ポプラ社
- 発行年:2014年
以下は、本の裏表紙の内容を抜粋したものです。
18世紀ヴェネツィア。『四季』の作曲家ヴィヴァルディは、孤児たちを養育するピエタ慈善院で、<合奏・合唱の娘たち>を指導していた。ある日教え子エミーリアのもとに恩師の訃報が届く1――史実を元に、女性たちの交流と絆を瑞々しく描いた傑作。2012年本屋大賞3位。
ピエタのあらすじは?
「ピエタ」の舞台は、バロック後期に活躍した作曲家アントニオ・ヴィヴァルディの没後、18世紀のヴェネツィアです。
ピエタは、いわゆる孤児院です。何らかの事情で親元から預けられた孤児たちが、音楽活動などを行いながら生計を立てています。
そして、ピエタに音楽の先生として通っていたのが、大作曲家のヴィヴァルディでした。
ヴィヴァルディは作品中では非常に重要な役割を果たしていますが、作中で一度も実体として登場しません。すでに亡くなっているからです。
それでも、ヴィヴァルディを慕っていた女性たちの回想を通して、ヴィヴァルディの生き様が描かれています。
ピエタの登場人物は、孤児院ピエタの住人たちや貴族の娘、コルティジャーナという水商売で生計を立てる女性など、様々な立場の女性たちです。
一見して全然違う世界の住人である彼女たちの唯一とも呼べる共通点、それがヴィヴァルディでした。
孤児や貴族の娘にとっての幸せはどこにあったのか?
そして、ヴィヴァルディの遺した作品に込められたメッセージとは?
…この物語は、故人であるヴィヴァルディが紡ぎ出す、一本の線を情感たっぷりに描き出した作品です。
大島真寿美「ピエタ」の感想・レビュー
あらすじを確認したところで、「ピエタ」の感想・見所をネタバレにならない程度に述べていきたいと思います。
魂の共鳴
あなたは、魂が共鳴し合うような人と出会ったことがありますか?
始めて会ったのに、まるで長年の友人のように感じる。興味関心や価値観・会話の波長などが異常なほど合う。
そんな出会いは、意図せず急に訪れるものです。
「ピエタ」でも、立場や関係性を超えた、精神的な深いつながりが描かれています。
その鍵となるのは、もちろんヴィヴァルディです。
ヴィヴァルディによって導かれる深い深い魂のつながりの描写に共感し、人間関係のあり方について改めて自問することになるでしょう。
失われた楽曲の謎
作中には、作曲されたにもかかわらず楽譜の見つからない、「失われた楽曲」が登場します。
失われた楽曲がよみがえり、作曲者たちが曲に込めた思いが浮き彫りになっていく中で、ヴィヴァルディが大切に思っていたもの、そして、ピエタの住人や貴族の娘が何を心のよりどころとしていたのかが明らかになっていきます。
物語の最後は楽曲の一節で幕を閉じますが、ヴィヴァルディと登場人物たち、そして、失われた楽曲がすべて一本の線でつながった時に、震えるほどの感動が得られるでしょう。
私は、エンディングをじっくり読み解く中で、びっくりするくらいトリハダがたってしまいました…。
伝承・継承の大切さ
「ピエタ」を読んでいて私が思いをめぐらせたのは、「伝承と継承の大切さ」です。
作中では、音楽や施設など、様々なものの衰退が描かれます。
しかしながら、終盤では、それでも色あせない もの・こと の価値が、登場人物たちの心情を通して描かれています。
たとえば、私たちが今日でもヴィヴァルディの音楽を堪能することができるのは、現代まで様々な形で受け継がれてきたからに他なりません。
家族や楽譜、建築物や理念など、様々なものやことが受け継がれていくことの尊さについて、考えさせられます。
きっと、ヴィヴァルディの作品を聴きたくなります
最後に、私は「ピエタ」を読了して、ヴィヴァルディの作品を聴きたい強い衝動に駆られました。
四季の「春」はもちろん、「調和の霊感」など、ヴィヴァルディは素晴らしい作品をたくさん残しています。
もしあなたが「ピエタ」を読んだら、きっとヴィヴァルディの楽曲を無性に聴きたくなるはずです。
気になった方は、ぜひ「ピエタ」を読んでみてください。そして、その後にぜひ「ヴィヴァルディ」の楽曲にも目を向けてみて下さい!
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