オーボエとクラリネットはいずれも管体が木製で黒っぽく、リコーダーのように縦に構えて吹く、という共通点があります。
オーボエとクラリネットには有名な美しい旋律がたくさんありますから、それぞれの音色の違いを感覚的に知っている人はめずらしくないでしょう。
しかしながら、この二つの黒い楽器を並べてみたとき、見分けがつかない方は意外に多いものです。
そこで今回は、オーボエとクラリネットの違いについて、リードや値段、音域といった側面から確認していきます。
オーボエとクラリネットの一番の違いはリード
オーボエとクラリネットを見分けるためには、奏者の口元に注目するとわかりやすいでしょう。
楽器の先端がストローのように細いのがオーボエです。このストロー状の部分を「リード」と呼びます。クラリネットもリードを使う点では共通していますが、その形状、構造はオーボエとは大きく異なります。
どのような違いがあるか、細かくチェックしていきましょう。
形状、大きさの違い
見た目でわかる違いは形状、大きさです。
オーボエのリードは長さが約7センチ、幅は7ミリ強なのに対し、クラリネットのリードは例えるなら、アイスクリームを食べるときの木ヘラくらいのサイズです。オーボエのリードの方が細長く、クラリネットのリードの方が平べったいと言えます。
リードはオーボエもクラリネットもケーン(葦)と呼ばれる植物を材料としています。
オーボエのリードは小さいので、自生しているケーンからでも作れます。しかし天然のケーンはそれほど大きく成長しないので、クラリネットのリードには大きく育つように品種改良した楽器用のケーンを使用します。
構造の違い
オーボエのリードは、薄く削られたケーンを2枚合わせた構造で、この2枚のわずかなすき間に息を入れ、音を出します。
オーボエのリードは2枚構造なので「ダブルリード」と呼ばれます。同じダブルリード楽器としてはファゴット(バスーン)があります。
クラリネットのリードは1枚の薄い板で、マウスピースに取り付けます。リードとマウスピースの間に息を吹き込むと音が出る仕組みです。
クラリネットのリードは1枚であるため、「シングルリード」と呼ばれます。仲間の楽器はサックスです。
値段の違い
オーボエのリードは機械生産のものも一部ありますが、大半は職人やプレイヤーによる手作り品です。一方で、クラリネットのリードは工場で大量生産されているものがほとんどです。
オーボエの手作りリードは1本¥3,000前後ですが、クラリネットは1箱10枚入りが同じくらいの値段です。手間がかかっている分オーボエのリードの方が高額です。
クラリネットのリードを手作りする人はまずいませんが、オーボエのリードを自作してみたいと思ってる人は多いでしょう。
作り方はインターネットでも調べられますし、初心者向けに途中まで加工された材料もあるので、独学でもチャレンジできそうです。
自作できるようになると、使い回せるパーツもあるので完成品を購入するよりも安上がりになります。
オーボエはクラリネットよりも高い!
クラリネットに比べてオーボエのリードの方が高額だということは前述しましたが、オーボエは楽器本体も高額です。
入門機種をメーカー希望小売価格で比較すると、クラリネットは10万円台から、オーボエは40万円台からと大きく違いがあります。どうしてなのかを考えてみましょう。
オーボエの方がキィが複雑だから
オーボエやクラリネットには、「キィ」と呼ばれる部品がついています。このキィは、音域を調節する重要なパーツです。
オーボエはクラリネットに比べてキィの数が多いことはもちろん、連動している箇所も多く複雑な機構です。
メカニズムが複雑であれば、作る時に手間がかかり、細かな調整も必要となります。それが値段に反映されるのです。
オーボエの方が演奏人口が少ないから
オーケストラでは原則、クラリネットとオーボエの人数は同じです。
一方で、吹奏楽団では、クラリネットはオーケストラにおけるバイオリンの位置づけですから人数が必要です。楽団の規模にもよりますが10人程度はクラリネット奏者がいるでしょう。
それに対して、オーボエは1人か2人ですから、演奏人口に圧倒的な違いがあります。演奏する人が少ないと、メーカーとしてもたくさんの楽器を製造しませんから、そのぶん割高になってしまうのです。
クラリネットだって高い!
入門機種で比較すればオーボエの方が高額ですが、クラリネットにも100万円を超えるモデルがあります。
高ければいい楽器、というわけではありませんが、上級機種は木のグレードや質感に始まり、内径の設計やキィの形状に至るまで、メーカーの音や機能に対するこだわりが詰まった機種と言えるでしょう。
クラリネットはオーボエよりも音域が広い!
小学生の頃に吹いたリコーダーのことを思い出してください。左手の親指の穴を半分にすると(サミング)、1オクターブ上がったことを覚えている方も多いのではないでしょうか。
オーボエにもクラリネットにも、「キィ」というパーツがついています。このキィが、サミングと同様に、音域を決める重要な役割をしています。
オクターブキィとレジスターキィ
音域を広げるためのキィは、オーボエはリコーダーと同様1オクターブ上がるので「オクターブキィ」、クラリネットは1オクターブ半上がるので「レジスターキィ」と呼ばれています。
オクターブキィは機種により1〜3個、レジスターキィは1個付いています。操作は主に左手の親指で行い、オクターブキィは種類により左手人指し指も使用します。
音域の違い
オーボエとクラリネットの音域は、オーボエで約2オクターブ半、クラリネットで約3オクターブ半です。音域の上限はほぼ同じですが、オーボエよりもクラリネットの方が低い音まで出すことができます。
音域に「約」とつけたのはその上限は奏者により異なるからです。初心者には高音域を出すのが難しいですし、スーパープレイヤーの中には運指表にはない超高音を出せる人もいます。
役割の違い
オーボエの音域は高いので、メロディを担当することがほとんどです。
一方で、クラリネットの音域は広いので、メロディを担当することもあれば、旋律を支える内声や伴奏の役割を担うこともあります。
オーボエとクラリネットの違いまとめ
今回はオーボエとクラリネットの違いについて、主に仕組みや機能面に着目してご案内しました。まとめると以下のようになります。
- リードの構造の違い(ダブルリード、シングルリード)
- リードや楽器本体の値段の違い(オーボエの方が高い傾向がある)
- 演奏人口の違い(クラリネットの方が多い)
- 音域の違い(クラリネットの方が広い)
- 役割の違い(オーボエはメロディ担当、クラリネットはマルチプレイヤー)
オーボエとクラリネットの音色の違いを生み出すポイントがわかれば、より理解や興味が深まるのではないでしょうか。それぞれの楽器の魅力を再確認いただけたら幸いです。
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