長3度?完全4度?ある2つの音の間の距離を表す「音程」とは?意味や「度数」の数え方を詳しく解説します!
ある音から別の音までの距離を、「音程」と言います。
そして、音程は「短2度」「長3度」「完全4度」「増5度」といった呼び方で表されます。
しかしながら、この「長」「短」「完全」「減」「増」は、なぜこのような呼び方をするのか、そして、どのように数えたらいいのか、理解するのは意外とむずかしいものです。
そこで、このページでは、音程を理解するための前提知識と、度数の数え方についてできるだけわかりやすくまとめてみました。
ぜひご一読いただき、12種類の音同士の関係性を知り、音程の数え方の根っこの部分を理解してください♪
音程とは?音の距離の数え方
音程とは、ある音から別の音までの距離を表す言葉です。
たとえば、ドからミ、ドからファは、それぞれ距離が違いますよね?
このように、ある音から別の音までの距離を表すためにつくられた、共通の呼び方のことを「音程」と呼ぶのです。
そして、音程は、「長」「短」「完全」「増」「減」という漢字と、1・2・3・・・8という数字を組み合わせて表します。
- 音程とは、2つの音の距離を言葉で表したもの
- 長・短・完全・増・減 + 1~8までの数字を組み合わせて表す
たとえば、先ほどのドとミの距離は長3度、ドとファの距離は完全4度と呼びます。
そして、音程を理解するためには、ドレミ~の各音の関係性を理解しておくことが欠かせません。
各音は等間隔に配置されている?
まず、前提として、クラシックをはじめとするドレミ~の音を使用する音楽では、(1オクターブの中で)12種類の高さの音が用いられています。
その12種類の音とは、「①ド・②ド♯(レ♭)・③レ・④レ♯(ミ♭)・⑤ミ・⑥ファ・⑦ファ♯(ソ♭)・⑧ソ・⑨ソ♯(ラ♭)・⑩ラ・⑪ラ♯(シ♭)・⑫シ」のことです。画像で表すと以下のようになります。
そしてここからが重要なのですが、これらの12種類の音は、ほとんどの場合に「平均律」という音の高さの配置方法が用いられていることから、実は等間隔に並んでいるのです。
♯や♭などの音も含めて等間隔であるというのは、ピアノでは黒鍵に当たるために直感に反するかもしれません。
しかしながら、ドとド#(レ♭)の距離と、ド#(レ♭)の距離は、等間隔なのです。
そして同様に、ミとファ、シとドの間には音がありませんが、これらもまたドとド#(レ♭)の距離と等しいです。
ピアノでは、すべての等間隔の音を白鍵だけで配置してしまうと、見た目だけで音が判断できなくなってしまいます。
そのため、白鍵と黒鍵をやや不規則に配置することで、視覚で直感的に把握できるようにしているのです。
この、となり合う音が白鍵と白鍵であっても、白鍵と黒鍵であっても距離が等しいということは、音程や調・音階などを理解する上で非常に大切なことなので、覚えておきましょう。
ドレミ~の音階と度数は対応する
12種類の音同士の相互関係を理解したところで、音程の具体的な呼び方を確認していきましょう。
まず、音程はドレミファソラシという音の配列(=音階)を基準に考えます。
楽曲には主役となる音(=主音)がある(≒調)ので、その音から順に7つの音+主音の1オクターブ上の音の合計8つの音の距離を表すのが基本です。
それぞれ、2度・3度・・・・8度という風に呼びます。
たとえば、ドが主音の場合には、以下のように2度~8度で表されます。
そして、この2~8度の位置関係は、主音の変化に伴って移動します。
たとえば、主音がソになった場合を見てみましょう。
ドを主音とする場合には、2度はレ、3度はミ・・・であったのに対して、ソを主音とする場合には、2度はラ、3度はシ・・・へと変化しています。
このように、音程は、何の音に着目するかによって、2度・3度・・・8度に当たるものが変化します。
ここまでが2度~8度という呼び方の大まかな説明ですが、実は、2度~8度の位置関係は、先ほどの12種類の音の配列と一緒に考えると、よく理解できます。
12種類の音で見る度数|完全・長・短・増・減
音程は、主音から2度・3度・・・8度という風に数えていきます。
度数は、主音がドの場合などには、比較的簡単に把握することができます。
ところが、主音がシ♭やファ♯などの音になった場合、単純にはいきません。
しかしながら、12種類の音と度数の関係を知っておけば、度数を把握することは実はそんなにむずかしくありません。
というわけで、12種類の音と度数の関係を図で表すと、以下のようになります。
図からわかる通り、主音を1とすると、2・3番目の音が2度、4・5番目の音が3度、6番目の音が4度、8番目の音が5度、9・10番目の音が6度、11・12番目の音が7度であることがわかります。
そして、主音から13番目の音は、1オクターブ高い主音と同じ音になりますが、これを8度と数えます。
画像で直感的に確認したところで、それぞれの呼び方についてより詳しく見ていきましょう。
4度・5度・8度は「完全」音程
まず、4度・5度・8度の音程についてです。
主音から4度・5度・8度の音程は、「完全〇度」と表現されます。
その理由は、4度・5度・8度の音は、他の音よりも主音とよく調和する音だからです。
そして、12種類の音との関係で見ると、主音を1とした時の6番目の音(=5つ離れている)を「完全4度」、8番目の音(=7つ離れている)を「完全5度」、13番目の音(=12離れている)を「完全8度」と呼びます。
4度・5度・8度の音をそれぞれ図で確認しておきましょう。
完全音程の特徴は、それぞれ2つの音がある2度・3度・6度・7度の音と違い、音が1つだけであるという点にあります。
のちほど、2度・3度・6度・7度の音程を確認した後に、実際に音を当てはめて具体例を確認します。
2度・3度・6度・7度は「長」「短」音程に分かれる
完全音程はそれぞれ音が1つに決定されましたが、一方で、2度・3度・6度・7度の音はそれぞれ2種類あります。
それぞれ、主音から近い方を「短〇度」、主音から遠い方を「長〇度」と呼びます。
より具体的には、主音を1とすると、2番目の音を「短2度」、3番目の音を「長2度」、4番目の音を「短3度」、5番目の音を「長3度」と呼びます。
同様に、9番目の音を「短6度」、10番目の音を「長6度」、11番目の音を「短7度」、12番目の音を「長7度」と呼びます。
これらを図で表すと、以下のように表されます。
完全音程と違って、それぞれ長・短の2種類に分かれていることがおわかりいただけたと思います。
その理由としては、長・短音程は、完全音程と比べると、主音との調和度が少し低ということが挙げられます。
ここまでを踏まえて、主音と2度~8度の関係をまとめたものが、以下の画像です。
ここまでで「完全」「長」「短」の各音程について見てきましたが、他に「増」「減」という音程もあります。
簡単に意味を確認しておきましょう。
増・減音程とは?
基本的な音程は、ここまで見てきた「完全」音程か、「長」「短」音程のどちらかになります。
しかしながら、時には、同じ音でも「完全」や「長」「短」から、さらに音を上下させて用いられることがあります。
このような音程のことを、「増」「減」音程と呼びます。
「増」音程は、完全もしくは長音程を、さらに半音1つ分上げた音のことを指します。
同様に、「減」音程は、完全もしくは短音程を、さらに半音1つ分下げた音のことです。
「増」「減」音程の具体例も画像で確認しておきましょう。以下は、それぞれ3度、5度の増・減音程を表したものです。
長音程からさらに半音上がると増音程に、短音程からさらに半音下がると減音程になることがイメージでつかんでいただけたのではないでしょうか!
具体例と画像で理解する音程
では最後に、主音となる音をいくつか変化させながら、音程の具体例を確認しておきましょう。
試しに、「ミ」を主音とした場合はどうでしょうか。画像で確認してみましょう。
これが、「シ♭」を主音とした場合には、以下のように変化します。
上の2つの場合を見比べてみると、主音によって全然様相が違うことがわかります。
それでも、音程の配置の規則さえ知っていれば、判断に迷った時でも機械的に音を並べるだけで音程を把握することができるのです!
音程を理解するのがむずかしい理由
音程の理解がむずかしい主な理由として、12種類の音の配置が不規則であることが挙げられます。
ドとレ・レとミなどの間にはそれぞれピアノの黒鍵に当たる音が存在する一方で、ミとファ・シとドはとなり合っています。
感覚的には、黒鍵を挟むと長音程になり、ミとファやシとドのように黒鍵を挟まなかったら短音程になる、と理解する場合が多いかもしれません。
ただ、主音から何番目の音か?で決まるということを理解しておくことで、たくさんの♯や♭などが絡んでくる場合でも、音程が把握しやすくなります。
つまり、12種類の音と音程の関係の根底にある理屈を覚えておけば、音程の数え方で迷わなくなるのです。
ぜひ、ここでご紹介した音程を数える際の規則を使いこなせるようにしてみてください!
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