このページは、ブルグミュラー25の練習曲の「気がかり」(心配)に関する解説です。
楽曲の概要を見た後に、弾き方のコツや練習方法について詳しく見ていきましょう!
ブルグミュラー「気がかり」(心配)の概要を解説
「気がかり」は、ブルグミュラー25の練習曲の18番目の載っている曲です。
原題は「Inquiétude」で、「気がかり」の他に「心配」というタイトルの場合もあります。
無窮動の、いかにも練習曲らしい曲です。
曲調は、気がかりで焦っているような場面が浮かんでくるようなイメージです。
拍子は4分の2拍子、調はホ短調です。
テンポ表示は「Allegro agitato」。Allegroは「快活に速く」、agitatoは「激して」「せき込んで」といった意味を表します。
つまり、Allegro agitatoと表記されていた場合には、「速く激しく」演奏するイメージです。
また、「気がかり」は曲を通して、拍頭の左手の和音に続く右手の3つの十六分音符というモチーフから成ります。
右手の拍頭は十六分休符で、左手の和音により一瞬動きが途切れるのが息せき切っているようで、まさに「agitato(せき込んで)」ですね。不安感を醸し出しています。
楽曲の形式は、A-B-A-Codaのシンプルな三部形式です。
以下に参考動画も載せておきますので、音でイメージをつかむのにご参照ください。
「気がかり」(心配)の弾き方のコツは?
「気がかり」の概要を確認したところで、いよいよ弾き方のコツに入っていきましょう!
前半のポイント:無窮動でも一定の動きをキープする
無窮動とは、常に一定した音符の流れが特徴的な、急速なテンポによる楽曲(Wikipediaより)を指します。
この曲の特徴は、左手から右手への受け渡しによって無窮動が生まれていること。
ですから、その受け渡しをスムーズにすることが大前提ですし、右手の音型の変化によって動きが停滞しないようにしなくてはいけません。
順次下行する音型<a>に続き、刺繍音(ある音から2度上行及び下行して元の音に戻る)<b>、跳躍音程からの2度下行<c>の3つの要素で構成されているので、次の音型がどれに当てはまるかを把握しておくと、素早く準備ができるでしょう。
1~8小節目を例に取ると、<a><b><a><b><c><c><b><b>という並びになっています。
後半の転調で気をつけたいこと
冒頭(A)のホ短調ではpでしたが、中間部ではmfになります。
音域が上がってト長調に転調するので、明るく音を響かせることで、自然に変化するのではないでしょうか。
中間部(9~16小節目)の右手の音型は、<a><b><a><b><c><c><c><c>という並びです。
13小節目と14小節目の<c>では跳躍がさらに広い7度となっているのが冒頭との違いであり、盛り上がりを演出しています。
15~16小節目ではホ短調に戻り、「dimin. e poco rall.」の指示があります。
この場合、「poco rall.(少しだんだん遅く)」をやり過ぎないほうがいいでしょう。
ここではテンポを遅くしていくというよりも、17小節目のAメロに入る前にほんの一呼吸置いて、戻ってきた感じを出すと良いのではないでしょうか。
f(フォルテ)のCodaは力強く
Codaはf(フォルテ)で、低音域でのユニゾンです。弦楽器のトゥッティ(全奏)を連想させますね。
余談ですが、ブルグミュラー25の練習曲の自筆はなく、初版譜が残されているだけで、初版のスラーは弦楽器の用法を模しているそうです。
そのことと関連があるのかどうかはわかりませんが、曲のところどころで弦楽器の表現を思わせる箇所があるなぁ、と感じます。
左手はチェロ及びコントラバスで朗々と奏でているイメージ。
一方の右手は、左手のメロディを後から刺繍音の音型で追いかけている形です。弦楽器でいったら、ヴィオラと一緒に、ヴァイオリンがG線(一番太い弦)を使って弾いているイメージでしょうか。
ですから、同じ音型ですが、それまでの演奏のしかたとはちょっと変わってくると思います。
最後の3小節は軽やかに、余韻を残して、静かに消えるように終わりましょう。
「気がかり」の練習方法は?
最後に、「気がかり」の練習方法について、ポイントを確認しておきましょう。
「気がかり」は、曲の最初から最後まで、動きを止めずに引き切ることがポイントです。
音型によってバラつきが出ていないかなどをチェックするためには、付点などのリズム変奏による練習が効果的でしょう。
最終的に楽譜通りに弾くときには、右手の十六分音符についている短いスラーに注目です。
スラーの終わりに向かってdim.するように、すっと抜くように弾きましょう(「松葉を付ける」という言い方をする人もいますね)。
左手の和音はスタッカートで歯切れよく。
Codaでは左手に長めのスラーが出てきます。書かれている通りに、アーティキュレーション(音のつながりと区切り)で表現してくださいね。
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