別れ

ブルグミュラー「別れ」の楽曲解説!解釈・弾き方のコツ・練習方法

ブルグミュラー「別れ」の楽曲解説イメージ画像

このページは、ブルグミュラー25の練習曲の「別れ」の楽曲解説です。

別れは別れでも、明日も会えるような軽い別れではなく、もう会えないかもしれない思い別れを表していると考えられる曲です。

そのように解釈できる理由や、弾き方のコツ、練習方法などを詳しく見ていきましょう!

ブルグミュラー「別れ」(さようなら)の概要を解説

「別れ」は、ブルグミュラー25の練習曲の12番目の曲です。

「狩り」と同じように、この曲の楽譜も見開きで2ページ分になります。

原題は「Adieu」です。昔の全音版の楽譜では、「さようなら」という題名でした。

楽曲の拍子は4分の4拍子、調はイ短調です。

テンポ表示は「Allegro molto agitato(速く、とても興奮して)」です。

この表示から、しっとりした別れではなく、かなり激しい感情を伴った別れということが想像できるのではないでしょうか。

また、八分音符3つのアウフタクトで始まるのも特徴のひとつです。

楽曲の形式は、イントロ-A-B-A-Codaの三部形式です。

参考動画を以下に貼っておきますので、音でイメージをつかみたい方はぜひご覧ください。

「別れ」をどう解釈する?

この曲は、今でこそ「別れ」という題名ですが、かつての全音版では「さようなら」というタイトルでした。

「さようなら」と言うと、一日の終わりに言う「さようなら」もありますよね。

ただ、この曲の雰囲気から、非日常的な「さようなら」だと子ども心に感じていました…。

そして、大人になって、原題が「Adieu」であることに気づき、やっぱり!と思いました。

通常、挨拶として使う「さようなら」は、フランス語では「Au voir」と言います。

一方で、「Adieu」と言えば、もう2度と会うことのない相手に対して使う言葉なのです。

池田理代子作「ベルサイユのばら」の中で、マリー・アントワネットがフェルゼンに向けて言った「アデュウ アデュウ 永遠に……さようなら」という言葉が浮かんできます。

つまり、この曲は別れのあいさつの「さようなら」(バイバイ)みたいな軽い感じではなく、もう会えないような思い別れを表していると考えられるのです。

だからこそ、しっとりした曲調というよりは激しい曲調であるのもうなずけます。

イメージとしては、イントロの部分で冒頭から感情が爆発し、5小節目のAの部分からは感情の波が押し寄せます。

ところが、17小節目からは明るい感じのハ長調に。この時は、楽しかった思い出がよみがえっているのでしょう。

そして、Codaの部分では、悲しみや楽しかった思い出をひっくるめて、それでも別れを断ち切らなくては、という悲痛な場面・・・。

このようなイメージで演奏すると、楽曲の変化する部分を上手くとらえられると思いますよ!

「別れ」の弾き方のコツ・練習方法は?

楽曲のイメージをつかんだところで、いよいよ「別れ」の弾き方のコツを、練習方法を交えて確認していきましょう!

冒頭から一気に感情が爆発!(イントロ:1~4小節目)

先述したように、「別れ」は八分音符3つのアウフタクトがp(ピアノ)で始まります。

3拍目のアップビートから始まるのが一瞬息を飲む感じです。

続く左手の和音の連打がagitato感を出しています。ここは軽く、スタッカートで弾きましょうね。

そして、2小節目から3小節目にかけての「ミ♯レミ/レー」の7度の跳躍で、押さえていた感情が爆発です!レに行く前の「♯レ」の刺繍音も利いています。

右手の「レ」と左手の属七の和音のsf(スフォルツァンド)、躊躇せずに感情をぶつけるように、しっかりと音を出してください。

「レー」の付点四分音符でしばらく時が止まったかのように動きが止まりますが、やがてコップから水があふれるように、順次下行で右手が動き出します。

でも、和声短音階による増2度の音程が差し挟まれているのが、すんなりとは納得できない心の葛藤を表しているような…。

4小節目には「dimin. e rall.」の表示です。

押し寄せる感情の波(A:5~16小節目/25~36小節目)

5小節目からは、A-B-AのAの部分に入ります。感情の波が押し寄せているようなイメージです。

Aの部分には、「in tempo(イン・テンポ)」の表示があります。

意味は「正確な速さで」。前の小節の「rall.」でだんだん遅くしているので、ここでテンポを戻すということですね。

ここから右手は三連符で動き始めるのですが、そのせいか、テンポを正確に戻せない人が多いのです!

ですから、メトロノームを使って、イントロとAメロが同じテンポになっているか、確認して練習してくださいね。

イントロの終わりは八分音符ですから1拍につき2つずつ、Aメロは三連符ですから1拍につき3つずつ、音が入ることになります。

このタイミングの違いを体得してください。

切れ目のない三連符の動きが、次々と押し寄せる不安を表しているようです。

左手はテナー(男声高音部)音域でサブメロディーを奏でます。ブルグミュラーでは、このようなテナー音域でのメロディーラインが時々登場しますね(例:7曲目「清らかな小川」の中間部など)。

また、書かれているスラーが特徴的。1拍目と2拍目の間でスラーが切れています。つまり、1/2・3・4・1/2・3・4・1/という区切りになっているのです。

通常とは異なる区切りが不安定な感じを醸し出していると思いますので、このアーティキュレーションは守って弾きたいですね。

同じような音域を行ったり来たりしていた三連符が、11~12小節目で一気に上昇し、13小節目の頭で、加線の「ミ」まで上りつめてf(フォルテ)へ!

そこからジャンプして一気に2オクターブ下の「ミ」に着地します。

四分音符のメロディーは朗々と奏でたい(私のイメージはヴァイオリン)ところです。

三連符の動きは左手に受け継がれます。

14小節目から再び三連符は右手へ。ここで現れる下行音型は、バッハの作品などに見られるため息の音型、涙の音型を思わせます(厳密に言うとちょっと違いますが)。

2拍目に置かれたsf(スフォルツァンド)が激しい感情を叩きつけているようです。

一緒に出てくる左手のシンコペーションもそれを補強してますね。しかも2度繰り返すことで、さらに強調しています。

16小節目の最後の両手の「ラ」もしっかり鳴らして、最後までf(フォルテ)で弾き切りましょう。

楽しかった頃の思い出(B:17~24小節目)

17小節目からはBのパートへ。

Bからは打って変わって、穏やかなハ長調に変わります。幸せだった頃の思い出に浸っているようです。

左手が三連符で分散和音、右手が四分音符でメロディーをメロディーを奏でます。

左手の三連符がうるさくならないように、かなり音量は押さえて弾きましょう。

拍の頭に当たる5の指の音は少し響かせますが、後の音はごく弱く、弾くというより指を落とす感覚です。

このような伴奏形はよく出てきますが、慣れないうちは出したい5の指のほうが弱く、後の音に当たる1の指のほうが強く出てしまいがちなので(1の指のほうが力が入りやすいから)、これは訓練するしかありません。

「p(ピアノ)」そして「espressivo(エスプレッシーヴォ)」の表示。これは「表情豊かに」という意味です。

私のイメージでは、このメロディーは柔らかいフルートの音色ですね。

右手に書かれているスラーも「espressivo」に大いに関わっていると思うので、アーティキュレーションに忠実に弾きたいものです。

BメロはB+B'の二部形式になっていますが、B'に当たる22小節目の2拍目は前回よりもさらに高い「ソ」まで跳躍。sf(スフォルツァンド)で強調しています。

続く23小節目で「♭ラ」の音が現れ、短調の気配が・・・。幸せな思い出に影が差して、現実に引き戻されていくような感じがします。

1拍目の右手の「シ」と左手の「ド」がぶつかるところ、右手が「シ→♭ラ」と増音程で動くところ、このまま素直に飲み込むことはできないという、心の引っ掛かりを表しているようです。

24小節目には「dimin. e poco riten.」の表示。イントロの終わりにあった「rall.」とは若干ニュアンスが異なるのでご注意を(10曲目「やさしい花」を参照のこと)。

ところで、このBメロ、9曲目「狩」のCメロと似ている気がしませんか。まるで、ネガとポジの関係のようです。

諦めきれない、でも断ち切るしかない想い(Coda:25~29小節目)

25小節目からは、最後を飾るCodaの部分です。あきらめきれないながらも断ち切らなければならぬ思い、そんなイメージでしょうか。

右手はAメロの最後、「ラドシラドミラ」のモチーフを、上に行ったり下に行ったり、何度も繰り返します。諦めきれない思いを表しているかのようです。

その背後で奏でられる、左手の3度の和音のハモリ。「ファ→ミ→レ→ド」という4度の下行音型は、まさしく「涙の音型」です。

ダウランド(1563~1626)の名歌「流れよ、我が涙」に端を発し、その後しばしば悲しみの比喩として使われました。チャイコフスキーの「悲愴」でも使われています。

しかし、最後は両手の和音でf(フォルテ)。想いを断ち切ろうとしているようです。

「別れ」の学習のポイントを確認

それぞれのセクションでp(ピアノ)からf(フォルテ)まで、そしてsf(スフォルツァンド)と、大きな強弱の変化があります。

それだけの激しい感情の起伏を表現したいですね。

曲を通して常に出てくる三連符を安定して弾く、というのもポイントでしょう。

そのためには無駄な力が入らないように、うまく力を抜いて弾くことも必要です。

Aメロの8小節にわたる右手の三連符がなかなか弾けないという人がいるかもしれません。そんな時には、「ドラドレミレ…」と通して歌ってみましょう。

弾けない時って歌えないことが多いものです。実際のテンポでスムーズに歌うことができれば、意外と指もスムーズに動くようになります。試してみてください。

今回、分析してみて、こんなにさまざまな要素が盛り込まれているのか、と改めて驚きました。大人になって再度演奏してみたい曲です。

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