リヒナー「短い物語」

H. リヒナー「短い物語」(ピアノ)の解説|難易度・レベルは?

リヒナー「短い物語」イメージ画像

H. リヒナー(Heinrich Lichner)はドイツの作曲家で、特にピアノ学習者の練習にうってつけの楽曲をたくさん作曲しています。

このページでは、そんなリヒナーの作品の中から、ハ長調の練習の仕上げにもってこいの「短い物語」(「短いお話」と訳される場合も)という楽曲についてご紹介します。

ピアノ楽曲・H. リヒナー「短い物語」(短いお話)とは?

今回取り上げる「短い物語」(英:A Short Story)は、H. リヒナー(Heinrich Lichner, 1829 - 1898)という作曲家が作曲したピアノ曲です。

リヒナーはドイツ人作曲家で、ピアノ学習者の学習用に最適な楽曲を多く残していることで有名です。

そんなリヒナーが残した曲の中でも、「短い物語」は様々なピアノ教本に載っている曲です。

YAMAHAのグレード試験の課題曲にも名を連ねているので、広く演奏されている曲であることがわかります。

以下は、「短い物語」の概要をまとめたものです。

H. リヒナー「短い物語」(または「短いお話」)
英語:H. Lichner "A Short Story"
調:ハ長調
形式:A-B-Aの三部形式
テンポ:moderate

「短い物語」の楽曲解説

続いて、ピアノ楽曲「短い物語」を簡単に解説していきます。

「短い物語」は、A-B-Aの三部形式の楽曲です。

三部形式とは、簡単に言えば楽曲が大きく分けて3つの部分から成る楽曲形式のことです。

そして、A-B-Aとは、1番目の部分と3番目の部分が(ほぼ)同じメロディで、それらにはさまれる2番目の部分が大きく変化している曲のことを指します。

最初のAの部分は、右手の主旋律(楽曲のメインとなるメロディ)が単旋律(複数の音を重ねていない単独の音)であり、左手の副旋律はアルベルティ・バスと呼ばれる規則的な形をしています。

基本的なことですが、左手のアルベルティ・バスを右手の主旋律より小さく弾くようにする必要があります。

左手はアルベルティ・バスの連続ですが、「ドソミソ」→「ファレラレ」の部分は意外と距離が離れているので、何度も繰り返して鍵盤同士の距離を体で覚え、離れていても自然につながって聴こえるようにしましょう。

続くBの部分は、右手の主旋律が2声の副旋律(音を2つ重ねたもの)になります。さらに、左手は「ソラシドレミファソ」と「ドレミファソラシド」を交互に弾く、スケール演奏に近い形になっています。

2声の部分は2つの音が同時に、かつ、バランスよく聴こえるような演奏を目指しましょう。

また、左手のスケール部分は指くぐりもあって簡単ではありませんが、つながって聴こえるようになるまで何度も反復しましょう。

最後のAの部分は、前半は最初のAの部分が変化した形で、単旋律とアルベルティ・バスの組み合わせになっています。

そして後半には、スケールになっているだけでなく、もう片方の手で連続する和音を演奏することになります。

スケールの部分は、右手から左手へ、そして、指使いも同じどの音の繰り返しを左手の5の指から1の指へスイッチしながら演奏します。

指をスイッチしてもつながって聴こえるよう、重心移動を滑らかにする練習が必要です。

さらに、連続する和音の音を外してしまわないように、何度も引き込んで指の形を覚えるようにしましょう。

また、「短いお話」のもう一つの特徴として、全体を通して強弱がはっきりと指定されていることが挙げられます。

フォルテとピアノが近接していたり、クレッシェンドとデクレッシェンドがたびたび登場したりします。

特に初心者の方は、強弱をつけて弾いているつもりでも、思った以上に強弱があるように聴こえない演奏になりやすいものです。

先生に聴いてもらったり、動画にとって確認したりしながら、しっかりと強弱が伝わるような力加減を覚えるようにしましょう。

「短い物語」の難易度・レベルは?

では、「短い物語」のポイントを踏まえながら、難易度・レベルについても確認しておきましょう。

「短い物語」は、初級、もしくは初中級くらいに分類されることが多いです。

ピアノを始めたばかりの人が簡単に弾けるような楽曲ではなく、かといってブルグミュラーなどを弾くようなある程度年数を重ねた人にとってはやさしく感じられるようなレベル感です。

バイエルのハ長調の曲の終盤の曲に毛が生えたくらいのレベルと言ってもいかもしれません。

そのため、「短い物語」を練習する時期は、基礎的なピアノ教本のハ長調からイ短調やト長調などに移行するくらいの時期が最適だと思われます。

一般的に、ピアノ教則本はハ長調→イ短調やト長調→ホ短調やへ長調→・・・のように、調号の少ない調から段階的にレベルアップしていきます。

そして、調号のない「ドレミファソラシド」の7つの音を基調とするハ長調は、誰もが最初に取り組むことになる調です。

誰もがハ長調の曲をやりながら、楽譜の読み方だけでなく次第にタイやスタッカート、強弱記号などを一緒に学んでいきます。

そのハ長調の学習の集大成として、「短い物語」はうってつけなのです。

その理由は、「短い物語」には、スケールや2声の複旋律、たくさんの強弱記号、タイ、和音など、楽譜の基本的な要素が網羅的に登場するからです。

ハ長調で楽譜の基本を学び、イ短調やト長調などへ移る前の集大成として練習しておくと、他の調の楽曲に移ったとしても楽に感じられます。

私もハ長調の仕上げとして「短い物語」で基礎的な部分を総復習できたので、その後にイ短調やト長調に移っても、あまり苦労することがありませんでした。

ト長調の「メヌエット」の方が簡単に感じられたくらいです。

以上のように、「短いお話」はハ長調の総復習に最適なが曲なので、教則本のハ長調から別の調へと移る直前に練習することを強くおすすめします!

「短い物語」を動画で確認しよう

では最後に、「短い物語」の演奏動画をご紹介しておきます。

ここでご紹介する動画は、私がピアノを始めてちょうど半年くらいの頃に演奏したものです。

楽譜は、「おとなのためのバイエル教本」という教則本に載っているものを使いました。

坂東 貴余子・本間 正治 (著)

「おとなのためのバイエル教本」は、有名なバイエル教則本の中の、学習効果の高い重要な楽曲のみを抜き出した教本です。

バイエルは、全曲やってももちろんいいのですが、ものすごく時間がかかるために、重要な曲をピックアップして進めていく場合も少なくありません。

「おとなのためのバイエル教本」は、働きながらでも学習効果の高い曲のみに絞って段階的かつ効率的にレベルアップしていける構成になっているので、おすすめの教則本です。

そして、バイエルの曲のレパートリーの途中に、どこかで耳にしたことのあるような有名な曲も散りばめられていて、その中の1つが「短いお話」なのです。

こういった有名な曲を間に挟んで弾けるようになることで、レベルアップを感じることができます♪

また、「短いお話」の楽譜が1曲分だけほしい!という場合には、「ぷりんと楽譜」などのサイトでも入手することができます。

以下にリンクも貼っておくのでご活用ください♪

「短いお話」の楽譜はこちら

【ぷりんと楽譜】H.リヒナー「短い物語」

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