タイとは、ある音が拍や拍子をまたぐ長さを持つときに、拍や拍子の区切りを示すために分割した音符をつなぐ下向きの弧 ◡ のこと。
アウフタクトとは、楽曲が強拍ではなく弱拍から始まること。
ここまでで、拍・拍子など音楽と時間経過について理解を深めてきました。
しかしながら、すべての楽曲が型通りに拍子の枠内に収まるとは限りません。
今回は、そんな拍子の枠から少しはみ出た場合である、「タイ」と「アウフタクト」について理解を深めていきましょう。
タイとは?
タイとは、ある音が拍や拍子をまたぐ長さを持つときに、拍や拍子の区切りを示すために分割した音符をつなぐ◡の記号のことです。
タイとはどんな記号か?
楽譜上で同じ高さの音が続いた場合を考えてみましょう。同じ音をターターと分けて演奏する場合もあれば、ターーとつなげて演奏する場合もあります。
このうち、連続する同じ高さの音をターターと分けて演奏する場合、以下のような表記になります。
この画像の例の場合、2つの連続するミの音は分けて、ドーミーミーソーと演奏することになります。
一方で、同じ音が続いたときにつなげて演奏する場合は、以下のように表記されます。
この画像の例の場合、ドーミーファーソーーミードーと、連続するその音をつなげて演奏します。
連続する同じ高さの音をつなげて演奏する場合の目印は、音符の●の部分についた‿の記号です。
このような、2つの連続する高さの音をつなげて演奏することを示す記号のことを、「タイ」と呼びます。
タイが使われる理由は?
ところで、上の2つのタイでつながったソのように、同じ音であれば二分音符などのより音の長さの長い音符を使えばいいように感じます。
なぜわざわざタイを用いるのでしょうか?
最も大きな理由は、楽曲の拍子に従った記譜をするためです。
上のタイの画像の例で言えば、その音の長さが、前の小節から次の小節へとまたがっています。
小節線とは?のページでお話しした通り、小節線は拍子の区切りを明確にする役割を担っています。
つまり、小節線をまたぐということは、ある拍子のまとまりから次の拍子のまとまりへと音がつながることを意味するのです。
そこで、前の小節から長い音符を書くのではなく、前の小節と次の小節の同じ高さの音をタイでつなぐことによって、読譜をする人が拍子を見失わないようにしているのです。
このような、タイの役割は、小節線をまたぐ場合のみにとどまりません。
たとえば、以下は8分の6拍子でタイが使用されている例です。
そもそも、8分の6拍子とは、2拍子の派生したものです。
6拍子は、2拍子の1拍を3分割した楽曲をつくろうと思ったときに使用します。(3拍子→9拍子、4拍子→12拍子 も同様です)
つまり、6拍子では、小節内の前半の3つの音符と後半の3つの音符がそれぞれ1拍のかたまりなのです。
そして、6拍子の同じ小節内の3つ目の音から4つ目の音へと移動するということは、前の拍から次の拍へ移ることに他なりません。
このような時に、前の拍から次の拍へと移りながらも音はつながっているということを示すために、タイが用いられます。
したがって、タイは基本的に拍子や拍のまとまりを視覚的にわかりやすく示す役割を担っているのです。
そのため、もし作曲やソルフェージュなどで拍や拍子をまたぐ音を記譜する際には、2つの音符をタイでつないで書く習慣を身につけましょう!
アウフタクトとは
続いては、アウフタクトについてです。
アウフタクトとは、楽曲が強拍ではなく弱拍から始まることを指します。
強起と弱起について
このことを理解するために、「強起」と「弱起」という考え方について見ていきましょう。
拍とは?拍子とは?リズムとは?のページで説明したように、拍には相対的に強く感じられる「強拍」と、相対的に弱く感じられる「弱拍」に分かれます。
そして、楽曲は基本的には、強拍から始まる場合がほとんどです。以下の画像のようなイメージです。
このように、楽曲が強拍から始まることを「強起」と言います。
一方で、楽曲の中には、弱拍から始まるものもあります。以下の画像のようなイメージです。
このように、楽曲が弱拍から始まることを「アウフタクト」(=弱起)と言います。
楽曲がアウフタクトで始まっている場合、最初の小節は拍子と比べて音の長さが短いのが特徴です。
上の画像の例で言えば、4分の3拍子なので1小節は四分音符3拍分ですが、アウフタクトのある1小節目は四分音符1拍分しかありません。
アウフタクトで始まった楽曲も、2小節目からは通常の拍数分の音の長さになります。
そして、しばしば楽曲の最後の小節は、弱起で始まった分音の長さが短くなります。
あの曲もアウフタクト?
身近な例として、モーツァルトの「トルコ行進曲」もアウフタクトで始まっています。
シラソラ ド レドシド ミ ファミレミ・・・
あの有名なフレーズの「シラソラ」の部分は、実は強拍ではなかったのですね・・・。
アウフタクトの場合はなおさらですが、強拍はどこにあるのか、拍を感じて弾くことが、いわゆる「拍感」のある演奏の第一歩です!
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