【調号】
調号とは、それぞれの楽曲の調に継続的に現れる変化記号(♯・♭・♮など)のこと。臨時記号として都度書き込むのではなく、楽譜の最初にまとめて記載したもののこと。
楽譜には、はじめに♯や♭などが「調号」として記載されます。(以下の画像参照)
この調号とは具体的にどのようなものなのでしょうか?同じ変化記号(=♯や♭)でも、「臨時記号」とどう違うのでしょうか?詳しく見ていきましょう!
調号とは?
調号とは、ある調で継続的に表れる♯や♭などを、対象の音に都度記載するのではなく、楽譜の最初にまとめて書いたもののことです。
このことを理解するために、まずは「調」について確認しておきましょう。
西洋音楽の楽曲や楽章などの音楽的なまとまりには、主役となる音があります。この、楽曲や楽章の主役となる音のことを、「主音」と呼びます。
また、西洋音楽では12種類の音が用いられることはすでに述べたとおりです。
しかしながら、楽曲や楽章では、全ての種類の音が均等に用いられるわけではなく、主音とよく調和する音を中心として曲が構成されます。
基本的には、主音と、主音と親和性の高い6つの音の合計7つの音がよく用いられ、それらを低い順に並べたものを「音階」と呼びます。
音階には、明るい雰囲気を持つ並びである「長音階」と、悲しい雰囲気を持つ並びである「短音階」の2種類があります。
そして、調とは、楽曲や楽章などの主音が何の音であり、長音階と短音階のどちらが用いられているのかを表す言葉です。
たとえば、「ハ長調」という調の、「ハ」は日本語音名で「ド」が主音であることをあらわし、また、「長」が長音階であることを表しています。
調とは?
調とは何かを簡単に確認したところで、いよいよ調号に話を戻します。
各調の音階には、変化記号のつかない幹音だけでなく、♯や♭などの変化記号のついた音が含まれることがあります。
そして、各調ごとに継続して用いられる変化記号のことを「調号」と呼びます。
調号の具体例として、「ト長調」の例を見てみましょう。ト長調は、ソを主音とする長音階がその音楽の中心であることを表します。
ソから長音階の並びである「全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音」ずつ進んでいくと、ト長調の音階は「ソ ラ シ ド レ ミ ファ♯ ソ」という並びになります。図でも確認しておきましょう。
※青い◡は全音を、赤い◡は半音を表す。
ここで注目すべきは、ト長調の音階では、ファに♯(=半音上げる)がついていることです。つまり、ト長調の音楽では、特に指定がない限り、ファの音は半音上げたものを終始使用するのです。
このように、ある調の中の特定の音に継続的につく変化記号(=♯や♭)のことを、「調号」と呼びます。
ところで、ファの音が登場するたびに毎回♯を楽譜に書き込んでいては、たいへん手間がかかります。また、変化記号だらけで見た目もイマイチです。
このような事態を避けるために、ある調に継続的に表れる変化記号(=調号)は、楽譜の始めにまとめて記載されます。
たとえば、次の画像の♯は、調号です。調号はこのように、楽譜の左側、音部記号(=ト音記号・ヘ音記号など)の右側に書かれます。
今回はト長調の例を確認しましたが、調号の種類や数は、調の種類によって異なることも合わせておさえておきましょう。
調号と臨時記号を区別しよう
ここまで見てきたように、「調号」とは、ある調で継続的に表れる♯や♭などを、対象の音に毎回書き込むのではなく、楽譜の最初にまとめて書いた変化記号のことです。
一方で、ある調の音階(=7つの主要な音を並べたもの)に含まれない音に、一時的につける♯や♭のことを、「臨時記号」と呼びます。臨時記号を書くときは、上げ下げする音符の左横に書き込みます。
楽曲や楽章などのまとまりの中で継続して効果を発揮する「調号」は、一時的に変化をつける「臨時記号」とは、区別されます。
「調号」は、それぞれの調の音階に継続的に表れる変化記号のことを指すものであり、一時的な変化を表す「臨時記号」とは異なることはおさえておきましょう!
――調号について理解したところで、次のページでは、調の種類について、各調の調号や音階などを一覧で見ていきましょう!
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