【 カンタータ 】
カンタータとは、「声楽曲」を表す言葉であり、「器楽曲」を表すソナタと対をなす言葉である。
カンタータはほとんどの場合器楽の伴奏を伴うが、オペラのようにストーリーを演じるものではなく、純粋に声楽による音楽を追求するものである。
カンタータは、音楽における楽曲の形式の一つであり、「ソナタ」と対をなす言葉です。オペラと類似点がありますが、オペラとカンタータはどのように違うのでしょうか?
このページでは、このカンタータという音楽用語の意味を、できるだけわかりやすく解説していきます。
カンタータは、ソナタとセットで覚えておきたい言葉です。あなたもご存じの「あの曲」も、元々はカンタータかもしれません。
カンタータとは?意味をわかりやすく
カンタータを理解する上では、ソナタの意味もセットでの意味もセットで理解することが欠かせません。カンタータとソナタは、表と裏のような関係にあるからです。
カンタータとソナタの違いは?
カンタータとソナタの違いや巻毛性については、"ask Difference"という英文サイトの説明がわかりやすいので引用します。
The main difference between Sonata and Cantata is that the Sonata is a composition for one or more solo instruments and Cantata is a vocal composition with an instrumental accompaniment.
ask Difference "Sonata vs. Cantata - What's the difference?" (https://www.askdifference.com/sonata-vs-cantata/)より抜粋
訳すと、以下のような意味になります。
以上より、カンタータの特徴をソナタと対比してみると、以下のようにまとめることができます。
ソナタが器楽(=楽器による演奏)のための声楽向け楽曲であるのに対して、カンタータは声楽向けの楽曲である
つまり、作曲者が「カンタータ」と名づけている時、この曲は声楽のための楽曲だぞ~という気持ちが込められているんですね。
カンタータは英語ではどのように説明されている?
以上のカンタータとソナタの違いを踏まえて、カンタータとはどのような意味なのかをさらに詳しく見ていきましょう。
海外のサイトで、カンタータについて端的にわかりやすく説明されているので、以下に引用します。
Loosely defined today, a cantata is a vocal work with multiple movements and instrumental accompaniment; it can be based on either a secular or sacred subject.
liveaboutdotcom "Cantata: History and Definition of the Music Form" (https://www.liveabout.com/history-of-the-cantata-2456369)より抜粋
この説明を訳してみましょう。
今日の定義を大まかに見ると、カンタータとは、複数の楽章を持ち、器楽による伴奏を伴い、また、世俗的な題材と宗教的な題材に基づいたものとがある。
これらからポイントを抽出すると、カンタータの一般的な特徴は以下のようにまとめることができます。(例外もあります)
- 器楽ではなく声楽のための楽曲である
- 器楽による伴奏を伴う
- 複数の楽曲を持つ
- 題材は世俗的なものと宗教的なものとに分かれる
題材は世俗的なものと宗教的なものに分かれることに触れましたが、世俗的な題材のものは「世俗カンタータ」、宗教的な題材のものは「教会カンタータ」と呼ばれ、区別されます。
カンタータの歴史
続いて、カンタータの歴史について簡単に見ておきましょう。
カンタータの歴史については、英文辞書の"Merrium-Webster"が端的にまとめてくれていますので以下に引用します。
A cantata is a work for voice or voices and instruments of the baroque era. From its beginnings in 17th-century Italy, both secular and religious cantata were written. The earliest cantatas were generally for solo voice with minimal instrumental accompaniment. Cantatas soon developed a dramatic character and alternating sections of recitative (solo singing that imitates the rhythms and tones of speech) and aria, paralleling the simultaneous development of opera. In Germany, the Lutheran cantata almost always involved a chorus. The approximately 200 cantatas written by Johann Sebastian Bach are the most celebrated. After ca. 1750 the cantata gradually declined.
Merriam-Webster "Definition of cantata" (https://www.merriam-webster.com/dictionary/cantata)より抜粋
この記述を日本語に訳すと以下のような意味になります。
カンタータとは、バロック時代の、独唱もしくは重唱と器楽の組み合わせから成る音楽作品のことである。17世紀イタリアでカンタータが登場した時から、世俗カンタータと教会カンタータの両方が書かれていた。最初期のカンタータは、最小限の器楽伴奏を伴う独唱が一般的であった。カンタータはすぐに、オペラの発展に伴い、戯曲的な特徴と、レチターティーボ(話し言葉のリズムやトーンを模した独唱)とアリアとが交互になった部分 とを発展させた。ドイツにおける、ルター派のカンタータには、ほぼ全ての作品に合唱が含まれていた。ヨハン・クリスティアン・バッハによる約200にもおよぶカンタータが、もっとも有名である。1750年頃以降には、カンタータは徐々に衰退していった。
この記述から、カンタータの歴史は以下のようなポイントにまとめることができます。
- カンタータははじめから世俗カンタータと教会カンタータに分かれていた
- 最初は独唱で器楽伴奏も最小限だった
- オペラの発展に伴って、戯曲的・朗唱的特徴を持つようになった
- ドイツのルター派カンタータに合唱が欠かせなかった
- バッハは約200ものカンタータをつくり上げた
- 1750年頃よりカンタータは衰退した
カンタータは、バッハのいたバロック時代にとても盛んだった音楽だったのですね。
それにしても、バッハが200近くものカンタータを作曲したことには、驚きを禁じ得ません。
しかしながら、カンタータは、オペラとは異なり、次第に衰退していったことがわかります。
カンタータとオペラの違いは?
カンタータの歴史の部分でもオペラが登場しましたが、声楽と聴くとオペラを連想しませんか?
カンタータもオペラも同じ声楽の分野にあります。
しかしながら、カンタータとオペラは、音楽的に異なるものなのです。
カンタータとオペラの違いについては、"Our Pastimes"という英文サイトに端的にわかりやすくまとめられているので引用します。
An opera is intended to be acted out, as a play in which all of the dialogue is sung rather than spoken. A cantata, on the other hand, is also a drama, but is more like a story set to music and sung.
Our Pastimes "Difference Between an Italian Cantata & an Opera" (https://ourpastimes.com/difference-between-an-italian-cantata-an-opera-12257680.html)より抜粋
この文章の日本語訳は以下の通りです。
オペラとは、演じることを意図したものであり、劇中の全ての対話は語られる代わりに歌われる。一方で、カンタータも同様に劇作品であるが、どちらかと言えば、音楽にあてがわれ歌で表現される物語である。
カンタータとオペラには歴史などいくつかの細かな違いはありますが、最も大きな違いは、「演じる」かどうかです。
オペラは、芝居や音楽、歌、時としてダンスなどを組み合わせた演劇作品です。
それに対して、カンタータは、器楽伴奏を伴う声楽の楽曲のことを指しています。
つまり、オペラは声楽を用いて演じるものであるのに対して、カンタータは演じることは目指すものではなく純粋に声による音楽をつくり上げるものなのです。
実はカンタータ!?「主よ人の望みの喜びよ」
バッハの有名な曲の1つに、「主よ人の望みの喜びよ」という楽曲があります。
クラシックに詳しくない人でも、カフェなどでピアノの演奏が流れているのを聞いたことがあるはずです。以下の動画で確認してみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=WUo7tQOvapE
ご覧になった方は驚いたかもしれませんが、ピアノやオルガンによる演奏ではなく、合唱がメインになっています。
そうなんです、もともと「主よ人の望みの喜びよ」はカンタータ=声楽のための楽曲だったのです。
バッハは、マリア(キリスト教の重要人物)のエリザベト訪問の日を祝して「心と口と行いと生活で」という曲を作曲したと言われています。
全10曲から成り、その最後の曲が「主よ人の望みの喜びよ」だったのです。
ちなみに「主よ~」の原題は「イエスは変わらざるわが喜び」で、宗教色の非常に強い楽曲であったことがわかります。
カンタータのポイントまとめ
カンタータに関する解説は以上です。ソナタやオペラとの違いなどご理解いただけたのであれば幸いです。
このページのまとめを以下に記載しておきますので、ポイントをご確認ください♪
- (器楽ではなく)声楽のための楽曲である
- 器楽による伴奏がつくことが多い
- (オペラのように)演じることを目的としない純粋な音楽である
カンタータはソナタやオペラほど使用頻度は高くない言葉ですが、その違いを知っておくと、音楽を学んだり鑑賞したりする上で、役に立つことでしょう♪
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