ドイツ語音名

音名をドイツ語で言うと?ドイツ語音名の読み方や覚え方

ドイツ語音名のイメージ画像

音楽の音の呼び方(=音名)で最も有名な「ドレミファソラシ」・・・これをドイツ語の音名にすると「C D E F G A H」となります。

このページでは、ドイツ語音名の読み方や覚え方、♯や♭などがつくとどうなるのか、なぜBではなくHなのか などについて詳しく解説していきます!

音名をドイツ語で表すと?

先に結論を言っておくと、ドイツ語の音名は、「C D E F G A H」という呼び方がベースとなります。

読み方は、「ツェー デー エー エフ ゲー アー ハー」です。

イタリア語の音名「ド レ ミ ファ ソ ラ シ」との対応関係は、以下の図のように表されます。

ドイツ語音名とイタリア語音名の関係

この、ドイツ語音名について、より詳しく理解していきましょう。

そもそも音名って何?

音楽では、高さの異なる音を複数並べて、1つの曲を作ります。

この、高さが異なる各音には、「ドレミファソラシド」などの名称がつけられています。

こういったそれぞれの音の高さに対してつけられた名前のことを「音名」と言います

音名は、イタリア・ドイツ・日本など、その国の言語に合った形でそれぞれ独自に発展してきました。

そのため、国によって「ドレミファソラシ」「ハニホヘトイロ」など、呼び方が異なるのです。

音名ハニホヘトイロハのイメージ画像
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ドイツ語の音名は「CDEFGAH」

では、ドイツ語の音名は、どのように表されるのでしょうか?

まずは、ドイツ語での幹音(=イタリア語で言う「ドレミファソラシ」のこと)の名前を確認しておきましょう。

ドイツ語の幹音の音名は、「C D E F G A H」で表されます。

それぞれの読み方は、「ツェー デー エー エフ ゲー アー ハー」です。

Aの後にBがくれば覚えやすいのですが、ドイツ語の音名ではAの後にHが来るのが特徴です。

この理由については、後の「ドイツ語音名の覚え方」の箇所で詳しくまとめていきたいと思います。

ドイツ語音名とイタリア語音名の対応関係

音楽の世界で最もよく使われる音名のひとつは、「ドレミファソラシ」でしょう。

この、「ドレミファソラシ」は、イタリア語の音名です。

では、イタリア語音名とドイツ語の音名はどのように対応しているのでしょうか?対応関係を確認しておきましょう。

次の表では、イタリア語音名「ドレミファソラシ」とドイツ語音名「CDEFGAH」の対応関係をまとめています。

イタリア ファ
ドイツ C D E F G A H

表からも分かる通り、C=ド、D=レ、E=ミ、F=ファ、G=ソ、A=ラ、H=シと対応しています。

先に「ドレミ~」で覚えている方は、ド=Cというポイントをおさえておくと覚えやすいでしょう。

ドイツ語音名に♯(シャープ)や♭(フラット)がつくと?派生音のドイツ語音名

ところで、音楽の世界には「ドレミファソラシ」だけでなく、”ファ♯”や”シ♭”など、♯(シャープ)や♭(フラット)がついた音も存在します。

♯は幹音(ドレミファソラシ)の音を半音上げる、♭は幹音の音を半音上げる記号です。

このような、幹音に記号がついて音の高さが変化した(=派生した)音のことを、「派生音」と言います。

この派生音は、ドイツ語の音名ではどのように表されるのでしょうか?詳しく見ていきましょう!

#(シャープ)がついた場合のドイツ音名

まず、ドイツ語の音名「CDEFGAHC」に♯(シャープ)がついた場合、どのような音名になるのでしょうか?

シャープのついたドイツ語音名の呼び方を理解するために、イタリア語音名の対応関係を確認しながら見ていきましょう。

ドイツ語とイタリア語の音名(♯)

上の表のように、ドイツ語音名では、♯がついた場合には「CDEFGAH」の後ろに”is”をつけます。

それぞれの音の読み方をカタカナで表すと、Cis「ツィス」、Dis「ディス」、Eis「エイス」、Fis「フィス」、Gis「ギス」、Ais「アイス」、His「ヒス」です。

♭(フラット)がついた場合のドイツ音名

続いては、ドイツ語音名に♭(フラット)がついた場合の表記や読み方を確認していきましょう。

フラットのついたドイツ語とイタリア語音名(ドレミ~)との対応関係は、以下の表のとおりです。

半音下げる場合、基本的にはCDEFGAHの各音のうしろに”es”をつけます。

♭の場合は、いくつか単純にesをつけた形とは異なるものがあるので注意が必要です。

まず、A(アー)やE(エー)などの母音で表されるドイツ語音名には、esではなく”s”だけをつけます。

さらに、シ♭の音はHesと表記しそうですが、基本的には”B”とで表されます。

AとCの間がHであれ?って思ったかもしれませんが、Bはこの位置に来るんですね!

それぞれの音の読み方をカタカナで表すと、Ces「ツェス」、Des「デス」、Es「エス」、Fes「フェス」、Ges「ゲス」、As「アス」、B「ベー」です。

♯♯(ダブルシャープ)がついた場合のドイツ語音名

続いて、ドイツ語の音名「CDEFGAHC」に♯♯(ダブルシャープ)がついた(=半音2つ分上がった)場合の音名について見ていきましょう。

ドイツ語音名のダブルシャープ

ドイツ語音名で♯♯がつく場合、CDEFGAHの各音のうしろに”isis”をつけます。

それぞれの音の読み方をカタカナで表すと、Cisis「ツィスィス」、Disis「ディスィス」、Eisis「エイスィス」、Fisis「フィスィス」、Gisis「ギスィス」、Aisis「アイスィス」、Hisis「ヒスィス」です。

♭♭(ダブルフラット)がついた場合のドイツ語音名

では、ドイツ語の音名に♭♭(ダブルフラット)がついた(=半音2つ分下がった)場合の音名はどうなるのでしょうか?確認していきましょう。

ドイツ語音名のダブルフラット

ドイツ語音名で♭♭がつく場合、基本的にはCDEFGAHの各音のうしろに”eses”をつけます。

ただし、♭♭の場合、単純にesesをつけた形とは異なるものがあるので注意が必要です。

まず、A(アー)やE(エー)などの母音のドイツ語音名には、esesではなく”ses”だけをつけます。さらに、AはAsesだけでなく、「Asas」と呼ぶこともあります。

また、Hは半音2つ分下げた場合、なんと3種類も呼び方があるのです。「Heses」「BB」「Bes」の3つです。全て言えるようにしておきましょう。

それぞれの音の読み方をカタカナで表すと、Ceses「ツェセス」、Deses「デセス」、Eses「エセス」、Feses「フェセス」、Geses「ゲセス」、Ases「アセス」、Asas「アサス」、Heses「ヘセス」、Bes「べス」、BB「ベーベー」です。

ドイツ語の音名の一覧

ここまででドイツ語音名を♯がつく場合、♭がつく場合など、それぞれの場合に分けて確認してきました。

以下は、ドイツ語の音名を一覧表にまとめたものです。

ドイツ語音名の一覧

ぜひ、確認用にご活用ください!

ドイツ語音名の読み方まとめ

続いて、ドイツ語音名の読み方についてもまとめていきたいと思います。

以下は、ドイツ語音名の読み方を一覧にしたものです。

ドイツ語音名の読み方の一覧

ドイツ語音名の幹音の読み方は「ツェー デー エー エフ ゲー アー ハー」。

そして、♯には”is”(-ィス)、♭には(-ェス)をつけます。

母音のEとAに♭がつく場合は、それぞれEs(エス)・As(アス)となります。HがBになるのも要注意でしたね。

続いて、♯♯には”isis”(-ィスィス)、♭♭には”eses”(-ェセス)がつきます。

♭♭の場合、母音のEとAはそれぞれEses(エセス)・Ases(アセス)です。

そして、Aに♭♭がつく場合はAsas(アサス)もあり、Hに♭♭がつく場合はHeses(ヘセス)・Bes(ベス)・BB(べーべー)の3つがあります。

なぜBではなくHなのか?

そもそも、ドイツ語はなぜ「CDAFGAB」ではなく、「CDAFGAH」なのでしょうか?

アルファベットの並び順からはずれているので、少し違和感があります。

実は、この理由については諸説があります。そして、残念ながら、これが確たる理由だと言えるものがないようです。

ただ、英文サイトのQuoraでの議論が良く考察されているので、今回はQuora “Why is B-flat noted as B and B noted as H in German?”(なぜドイツ語ではBフラットがBと表記され、BがHと表記されるの?)の見解をご紹介します。

元々、ドイツ語の幹音名はC D E F G A Bと表記されていました。

そして、そこに初めて登場した派生音(♯や♭のつく音)がB♭でした。

というのも、当時 グレゴリオ聖歌で用いられた”hexachord”(六音音階)は3種類あったのです。

3種類の内訳ですが、1つ目はnatural hexachord(=C D E F G A)、2つ目はsoft hexachord(=F G A B♭ C D)、3つ目はhard hexachord(=G A B♮ C D E)というものです。

この3つの音階を見比べてみると、Bの音だけB♮とB♭の2種類が存在していることがわかります。
※♮(ナチュラル。自然の・本来の、といった意味)

それから、B♮の音は”B quadratum”(四角いB)で表記され、B♭は”B rotundum”(丸いB)で表記されるようになりました。

ドイツ語音名のBとHのイメージ画像

その後、B♮(四角いB)はhの文字と間違われた、もしくは、印字する上で丸いBと四角いBを分けるために四角いBを形が似ているhと表記するようになった、と言われています。

もしくは、以下の画像のbの後の画像のように、bとナチュラルを合わせたような四角いBが使われていて、その下の2本線の間隔が狭かったためにHと解されるようになった可能性もあるようです。

ドイツ語のBとHの画像
画像:Quora "Why is B-flat noted as B and B noted as H in German?"より

このあたりのプロセスのどれが正しいのかは、英語圏のソースを調べても、100%の結論は出ていないようですね・・・。

ただ、アルファベット的にも、Gまで登場していたので、その次のHが都合が良かったのでしょう。

それ以後、順序的に少し変則的でありながらも、AとHの間にBが配置され続けた理由の一つに、バッハ(J. S. BACH)の存在があると言われています。

実は、一部のバッハの曲には、ドイツ語音名でB-A-C-H(バッハのアルファベット表記)という順序のモチーフが用いられています。(=BACH motif)

そして、他の作曲家も、バッハに敬意を表してBACH motifを使用した作品をつくったと言われています。

このような偉大な作曲家バッハにちなんだBACH motifの存在もあり、現在までCDEFGAHの並びが受け継がれてきたとする説が有力です。

ドイツ語音名の覚え方

では、ここまででまとめてきたドイツ語音名の並び順や規則などを踏まえて、ドイツ語音名の覚え方についてまとめていきましょう。

まずは、ドイツ語音名の幹音の並び「C D E F G A H」をきちんと覚えましょう。

注意点は、先にも確認した、AとCの間がBではなくHである、ということです。

幹音を覚えたら、♯や♭がついた場合です。

♯がつくと幹音名の後に”is”がつき、♭がつくと幹音名の後に”es”がつきます。

ただし、Hの♭だけは、”B”になるので注意が必要です。Bはここで登場するんでしたね!

また、同様に♯♯がつくと幹音名の後に”isis”がつき、♭♭がつくと幹音名の後に”eses”がつきます。

これらが基本の形です。あとは、例外の部分を覚えましょう。

まず、母音で始まるEやAの音の後に”es”もしくは”eses”がつく場合、直後の”e”は省略されます。(Es・Asesなど)

また、Aの♭♭は、AsesだけでなくAsasと呼ばれることもあります。

そして、Hの♭♭は、Heses・Bes・BBの3つの呼び方があります。

このように、原則→例外という順序で理解すれば、ドイツ語音名はぐっと覚えやすくなります。

規則を理解したら、後は反復あるのみです。以下は、赤シートなどで隠して暗記用に使えるように作った、ドイツ語音名の一覧表です。ぜひご活用ください!

german-pitch-name-list-to-memorize

他のドイツ語の音楽表現もセットで覚えよう!

ドイツ語音名に関する解説は以上です。

ぜひ規則や例外を理解して、ドイツ語の音名を使いこなせるようになってください。

また、ドイツ語の音名は、音楽のシーンでしばしば用いられると冒頭でも触れました。

たとえば、C dur(=ハ長調。ツェー ドゥア)、a moll(=イ短調。アー モール)など。

この例のように、ドイツ語は「C D E F G A H」だけでなく、durやmollなどの用語と一緒に用いられることが多いです。

そのため、他のドイツ語の用語も合わせて覚えていくようにしましょう。

ちなみに、最も頻出なのは、dur(長調。読み方は”ドゥア”)とmoll(短調。読み方は”モール”)です。

そして、ドイツ語では、長調の場合は「C D E F G A F」やFisなどのように大文字で表記し、短調の場合は「c d e f g a h」やasなどのように小文字で表記します。

まずは、頻出のdur + 大文字と、moll + 小文字 から覚えておきましょう!

音名ハニホヘトイロハのイメージ画像
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