ピアノを習う人なら誰もが知っていると言っても過言ではないテキスト、「ブルグミュラー25の練習曲集」。
なぜこの曲集は、ショパンらと同時代のロマン派の時代からこんなにも愛され続けているのでしょうか?
このページでは、「ブルグミュラー25の練習曲」の魅力や楽曲解説、おすすめ動画などを、余すところなくご紹介していきます!
ブルグミュラー25の練習曲とは?なぜ長い間愛され続けているのか?
「ブルグミュラー25の練習曲」は、ドイツ人作曲家のフリードリヒ・ヨハン・フランツ・ブルクミュラーによるピアノ教則本です。
ショパンやシューマンなどの生きたロマン派の時代に作曲された曲集ですが、今でも日本のピアノ学習者に愛されている名作です。
このテキストの正式名称は、「ピアノのためのやさしく段階的な25の練習曲——小さな手を広げるための明解な構成と運指 作品100」(25 Etudes faciles et progressives, conposées et doigtées expressément pour l'étendue des petites mains Op.100)です。
3巻セットを想定して書かれており、その第1巻に当たります。
※第2巻は「18の性格的な練習曲 作品109」、第3巻は「12の旋律的で華麗なる練習曲 作品105」
以下は、25の練習曲のタイトルの一覧です。
- すなおな心
- アラベスク
- パストラル(牧歌)
- 小さな集会
- 無邪気
- 進歩
- 清らかな小川
- 優美
- 狩り(狩猟)
- やさしい花
- せきれい
- 別れ
- コンソレーション
- スティリエンヌ
- バラード
- ちょっとした悲しみ
- おしゃべりさん
- 気がかり(心配)
- アヴェ・マリア
- タランテラ
- 天使の合唱
- バルカロール
- 帰途(再会)
- つばめ
- 貴婦人の乗馬
レベル・難易度はどのくらい?
「ブルグミュラー25の練習曲」のレベル・難易度は初中級程度と言われています。
ピアノを始めたばかりの人が演奏するには難易度が高め・・・。
そのため、初級のテキストが終わった後にブルグミュラーに移るのが一般的です。
一昔前は、「バイエル」→「ブルグミュラー」→「ソナチネアルバム」「ソナタアルバム」といったルートが王道でした。
ブルグミュラー25の練習曲には、スタッカートやレガート、和音、ユニゾン、スケールなどたくさんの技術的要素がちりばめられています。
さらには、二部形式・三部形式からロンド形式やマーチ形式まで、楽曲の形式も様々です。
そんな盛りだくさんの要素を持つブルグミュラーをやり終えることができたら、ピアノ中級程度の実力を身につけることができます。
長い間愛され続ける理由は?
現在は一昔前よりもさまざまなテキストが出版されていますが、それでもなお「ブルグミュラー25の練習曲」は今でも多くの人に親しまれているテキストです。
たとえば、2曲目の「アラベスク」や、25曲目(ラスト!)の「貴婦人の乗馬」などは、発表会などで幅広いピアノ演奏者の方々に演奏されています。
とても有名な曲なので、恐らくみなさんも一度はどこかで耳にしたことがあるはずです!
ブルグミュラー25の練習曲は、なぜこんなにも長い時を経てなお愛され続けているのでしょうか?
それは、一つひとつの作品のすばらしさにあります。
25の練習曲のそれぞれの作品は、練習曲として様々な技術の習得に適しています。
しかし、それだけではありません。メロディや和音も美しく、弾いていてとても楽しい楽曲ばかりです。
初級レベルのテキストは作業的でおもしろくないと感じていた人でも、ブルグミュラーは弾いていて楽しいと感じられる・・・そんな曲集に仕上がっているのです。
このように、ピアノの演奏技術が習得できるだけでなく、演奏していて楽しいからこそ、長い時を経てもなおずっと愛され続けているんですね!
ブルグミュラーってどんな人?
続いて、25の練習曲を作曲したブルグミュラーさんはどんな人物だったのでしょうか?一緒に見ていきましょう!
作曲家のフリードリヒ・ヨハン・フランツ・ブルクミュラー(1806~74)は、ドイツのレーゲンスブルクに生まれ、デュッセルドルフで育ちました。
あれ?ドイツ人なのに、なぜ練習曲のタイトルはフランス語なんだろう?と思ったアナタは鋭い!
ブルグミュラーはその後、26歳でフランスに渡り、パリで活躍した人物なのです。
ピアノ教師、サロン音楽の作曲家、そしてバレエ音楽作曲家として活動していたと記録されています。
ピアノ教師の経験を活かして、小さな手でも楽しめ、なおかつ必要な演奏技術を学ぶことができるよう、工夫して作曲されているのが特徴です。
先にも触れましたが、ブルグミュラーの活躍した時代は、ショパンやシューマンなどの活躍したロマン派の時代です。
そして、ブルグミュラー作品は150年以上の時を超えてなお、今でも日本で親しまれています!
ブルグミュラー25の練習曲の楽譜紹介
ブルグミュラーについて理解を深めたところで、ブルグミュラー25の練習曲の楽譜をいくつかピックアップしてご紹介します。
紙冊子の楽譜テキスト
最近はデータ化された楽譜も当たり前のように手に入るようになりましたが、楽譜はやはり1冊紙で手元に持っておきたいもの。
ここでは、そんな紙冊子の楽譜テキストをいくつかピックアップしてご紹介します。
ブルクミュラー25の練習曲 全音ピアノライブラリー
「ブルグミュラー25の練習曲」といえば、ほとんどの人が思い浮かべるのが、この「ブルグミュラー25の練習曲 全音ピアノライブラリー」です。
「全音版」などと呼ばれているのは、このテキストを指しています。
最も親しまれている、最もスタンダードなテキストと言えるでしょう。
他の「大人の~」「子どもの~」といった楽譜と比べて厚い解説がなされているわけではない、"The 楽譜"といったイメージのテキストです。
無駄な記載のないシンプルな楽譜ですので、たくさん書き込みをしたい人や、音楽教室の先生に習いながら練習する人におすすめです。
大人のための独習ブルクミュラー25の練習曲
続いてご紹介するのは、「大人のための独習ブルグミュラー25の練習曲」です。
説明文には、以下のように書かれています。
さまざまなテクニックが織り交ぜられていると同時に、楽曲の美しさやなじみやすさも魅力で、大人の方にも人気の高い『ブルクミュラー25の練習曲』。
効果的に学べる順番に曲を並べ、1曲1曲のポイントとなるところを取り上げて、練習方法や演奏のコツを学べるようにしました。
初めてブルクミュラーにトライする方はもちろん、ブランクがあって再挑戦されたい方にも使いやすい内容です。――Amazonより引用
この説明からわかる通り、独学でも学べるように解説が充実しているのがおすすめポイントです。以下のようなレビューもあります。
演奏のポイントやパート練習等の解説が、1曲に対して1~2ページ書かれています。(全25曲中15曲が2ページの解説です。)
同じシリーズの独習バイエルでは、曲数が多いためか「ワンポイント」しか書かれていないことを考えると、かなり解説を充実させたつくりになっています。――Amazonより引用
独学でブルグミュラーを弾けるようになりたい、自分のペースで学習したいという方は、ぜひこの本を手に取ってみてはいかがでしょうjか?
新こどものブルクミュラー25の練習曲
また、ブルグミュラー25の練習曲は、お子様向けに編集されたものもいくつか出版されています。
今回ご紹介する「新こどものブルクミュラー25の練習曲」は、音符が大きめに書いてあったり、欄外に楽語などの解説があったりと、お子様にもとてもやさしい設計になっています。
レビューでも、以下のように紹介されています。
曲の解説があるのでイメージしやすい。
記号が細かく書いてあって弾きやすい。(子供の頃使っていた楽譜は先生が書き込む用にほぼマッシロ…)
音楽用語覚えられないマンなので、欄外に解説が書いてあるのがありがたいです。
巻末に全ての曲の練習アドバイスがあるので練習目的がはっきりして頑張れる、丁寧に紙面構成されているお陰で、一冊楽しく続けられました。とても良い本に出会えました。
――Amazonより引用
なお、この本はあまりに新設設計なので、なんとお子様だけでなく大人の学習者にも親しまれています。
大きい音符でストレスなく楽譜を読み取りたい、なかなか楽語などを覚えられない、やさしい解説の載った本で学びたい、といった方には、子どもから大人まで幅広くお勧めできる本です。
データ版の楽譜―無料のものもあり
続いては、楽譜データのご紹介です。
データの楽譜は、冊子だとかさばってイヤな人や、自分の好きな曲だけピックアップして弾きたい人に適しています。
ここでは、「ぷりんと楽譜」と「クラシックピアノ名曲110選」の2種類のデジタルデータを扱ったサイトをご紹介します。
ぷりんと楽譜
まずご紹介するのは、「ぷりんと楽譜」というサイトです。
「ぷりんと楽譜」は、【欲しい楽譜を1曲から簡単購入!】がキャッチフレーズの、ヤマハの楽譜データ販売サイトです。
そのコンセプトが表すとおり、好きな楽曲の楽譜を冊子でまとめてではなく、1つずつ個別に安価で購入することができます。
以下は、Webサイトの説明を引用したものです、
ぷりんと楽譜は、楽譜データ(PDFデータ)の販売サイトです。
欲しい楽譜のデータを1曲単位でご購入いただけます。
ご購入いただいたデータは、すぐにプリンターで印刷いただけますので、自宅にいながらにして、24時間、いつでも欲しい楽譜を手に入れることができます。――ぷりんと楽譜「ぷりんと楽譜ってなに?」より引用
ぷりんと楽譜の良さは、学習者にやさしいことです。余白に楽語の説明があったり、各曲の巻末に演奏のポイントなどがあったりします。
以下のページから各曲の楽譜のサンプルも見ることができるので、ご参照ください。
▲ぷりんと楽譜「ブルグミュラー25の練習曲」
また、以下のそれぞれのリンクから、「ぷりんと楽譜」の楽譜データ購入ページに移動できるので、ご利用ください!
クラシックピアノ名曲110選
続いてご紹介するのは、【クラシックピアノの楽譜を無料でダウンロード】がコンセプトの「クラシックピアノ名曲110選」というサイトです。
コンセプトからわかる通り、こちらのサイトではクラシックのピアノ曲のフリー楽譜をダウンロードすることができます。
ブルグミュラー25の練習曲もすべてそろっているのがうれしいですね。無料の楽譜で曲を弾いてみたいという方にはおすすめです、
以下には、「クラシックピアノ名曲110選」に掲載されているブルグミュラーシリーズをまとめています。
ご興味のあるもののリンクをクリックしていただくと、該当ページまでジャンプします。
ブルグミュラー25の練習曲の各曲を理解する
続いて、ブルグミュラー25の練習曲を1曲ずつ楽曲解説していきます。
それぞれの楽曲解説はボリュームがあるので、ページを分けています。
学びたい曲のリンクをクリックすると、それぞれの楽曲解説のページにジャンプします!
●1曲目:すなおな心
●2曲目:アラベスク
●3曲目:パストラル(牧歌)
●4曲目:小さな集会
●5曲目:無邪気
●6曲目:進歩
●7曲目:清らかな小川
●8曲目:優美
●9曲目:狩り(狩猟)
●10曲目:やさしい花
●11曲目:せきれい
●12曲目:別れ
●13曲目:コンソレーション(なぐさめ)
●14曲目:スティリエンヌ(スティリアの女)
●15曲目:バラード
●16曲目:ちょっとした悲しみ(小さな嘆き)
●17曲目:おしゃべりさん
●18曲目:気がかり(心配)
●19曲目:アヴェ・マリア
●20曲目:タランテラ
●21曲目:天使の合唱(天使のハーモニー)
●22曲目:バルカロール(舟歌)
●23曲目:帰途(再会)
●24曲目:つばめ
●25曲目:貴婦人の乗馬(乗馬)
25曲のおすすめ動画を紹介
では、最後に「ブルグミュラー25の練習曲」のおすすめ動画をご紹介しておきたいと思います。
私が最もおすすめするのは、赤松林太郎先生の演奏動画です。
赤松林太郎先生は、よくブルグミュラー系のコンサート講座などを開催している、ブルグミュラーの大家と言っても過言ではない存在です。
しかもこの動画、なんとあのPTNA(全日本ピアノ指導者協会)が出している動画なんですね!
PTNAを代表して演奏するほどブルグミュラーに造詣が深い赤松先生の演奏には、とても心が揺さぶられます。
ぜひ赤松先生のブルグミュラーをご覧いただき、聴いて楽しんだり、演奏のヒントにしたりしてください!
●すなおな心
●アラベスク
●パストラル(牧歌)
●小さな集会
●無邪気
●進歩
●清らかな小川
●優美
●狩り
●やさしい花
●せきれい
●別れ
●コンソレーション(なぐさめ)
●スティリエンヌ
●バラード
●ちょっとした悲しみ(小さな嘆き)
●おしゃべりさん
●気がかり(心配)
●アヴェ・マリア
●タランテラ
●天使の合唱
●バルカロール(舟歌)
●帰途(再会)
●つばめ
●貴婦人の乗馬
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